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「揺さぶられっ子症候群」に疑問を抱く弁護士たちが、厚労省の児虐・児相行政と闘い始めた!

揺さぶられっ子症候群」(SBS)を理由として我が子を児相に拉致された家族は、全国に数多く存在します。さらに、児相拉致にとどまらず、親がこれにより刑事訴追を受けることとなった事例も、決して少なくありません。

このSBSを日本で最初にとりあげたのは、北九州市のある病院のすでに故人となった小児科医でした。これをその後大きく広めたのは、「日本子ども虐待医学会」の事務局長を務める医師、山田不二子氏です。山田氏はこれにより、2013年度、内閣府から「チャイルド・ユースサポート章」まで受賞しています。SBSを唱える論者は、3つの兆候(急性硬膜下血腫・脳浮腫等・眼底出血)がそろって子どもにあれば、「SBSによる虐待」と主張します。
ところがこのSBSの医学的根拠は、実は乏しいもので、このSBSが、数多くの「虐待冤罪」、すなわち児相が児童の拉致により金銭的インセンティブを獲得する不当な行政の温床となってきたのです。山田不二子氏が主宰した学会シンポジウム「AHT/SBSは存在する」に参加した医師は、「一貫して、地位保全に執心し、客観性が感じられませんでした」、「無意味で有害な面会謝絶に遭う乳幼児の人権や不利益には全く言及しませんでした」と、受けた印象を語っています(『さらわれた赤ちゃん 児童虐待冤罪被害者たちが再び我が子を抱けるまで』152-153ページ)。SBSが真正な医学的・生理学的現象ならば、山田氏はこのような対応をとる必要が全く無かったはずです。
SBSによる「児童虐待」の疑いから、親の刑事訴追が行なわれるようになると、まず、刑事を専門とする弁護士が、声を上げ始めました。このような弁護士と、SBSの医学的根拠に疑問を抱く医師が、「SBS検証プロジェクト」を立ち上げています。詳しくは、こちらの同プロジェクト公式サイトをご覧ください:

Screenshot of shakenbaby-review.com

こうした弁護士や医師の活動は実を結びました。SBSは刑事法廷でも「虐待冤罪」と見られるようになり、2018年3月から今月(2020年2月)に至るまで、6件もの無罪判決が立て続けに出されるようになっています。
とくに、2019年10月25日付け大阪高裁判決では、検察側の証人に立った山田不二子氏派医師の法廷における証言について、極めて厳しい判断を示しています:
「医学文献の記載と整合せず, CT画像読影ついて, 正確な専門的知見を有しているのか…につき,疑問を禁じ得ない」、同医師の証言は「その断定的な言いぶりに照らしても、自己のよって立つ見解を当然視し、一面的な見方をしているのではないかを慎重に検討する必要がある」。しかも、同医師は別の「医師がカルテ等に記載していた『胞状の網膜剥離』との診断を, 『網膜分離症』と置き換えているが,不正確であり,不当である…このように置き換えることは,意図したものではないとしても,虐待起因の症状であるとする方向にミスリードする危険性が高い」… 大阪高裁は、SBS派医師が、児相お得意の虐待捏造にすら手を染めた疑いを示唆する判示を行なったのです。
そして、「SBS理論による事実認定の危うさを示してもおり、SBS理論を単純に適用すると、極めて機械的、画一的な事実認定を招き、結論として、事実を誤認するおそれを生じさせかねない」とまで断じました。SBS派医師は、もはや2度と法廷に証人として立てないほどに信用を失墜したといってよいでしょう。

こうした一連の事態の展開を受けて、2月14日、日弁連主催で「虐待を防ぎ冤罪も防ぐために, いま知るべきこと」と題するシンポジウムが開催されました。
川上博之弁護士
その講演に登壇した、大阪にあるゼラス法律事務所の川上博之弁護士は、刑事の枠から出て、SBSを理由とした児相の「一時保護」にかかわる人権侵害の問題に大きく踏み込み、これを「刑事事件だけの問題ではない」とし、「疑わしきは被告人の利益に」、家事事件では「児童の保護・虐待の防止」が強調されるが、「明らかに誤っている意見を前提としていけないのは、刑事事件も家事事件も同じ」と断じました。
なお、川上弁護士は、2019年12月、児相が28条による施設措置を申立てた案件で親権者側の代理人となり、家裁審判ならびに児相側が抗告した高裁において児相側申立の却下を勝ち取り、見事に子どもを児相から奪還した辣腕です:

Screenshot of www.zealous-law.com

この講演に引き続いて行われたパネルディスカッションで、日弁連子どもの権利委員会委員長の岩佐嘉彦弁護士は、児童相談所が、親が「虐待」を自白しないと「親子再統合」(児童を親に返還すること)を行なわず、これが親子分離の長期化を招いているという事実を摘示し、何とかすべきだと発言しました。これに対し、講演者の川上弁護士は、「人質司法の別の形」だと応じました。

SBSを理由とした刑事訴追に対する批判から出発した運動は、いよいよ児相行政における長期にわたる親子分離、子どもを人質に使った「虐待」自白強要など、厚労省や児相が強行する行政が行なう人権侵害の追及へと、ここ数年の間に大きく動き始めています。とりわけ、日弁連子どもの権利委員会委員長が、従来のくれたけ法律事務所所属弁護士のような厚労省との癒着路線から一線を画し、子どもと家族の人権を擁護する立場から児相行政に強い批判を向け始めたことは、大きな前進というべきです。
このシンポジウムには、弁護士らを中心として168名もの参加を得て会場は立ち見も出る盛況で、テレビの取材カメラも数局陣取っていました。昨年3月の厚労省=児相行政の人権侵害をやめさせる国連勧告という国際的な動きに引き続き、厚労省=児童相談所による「児童虐待」を口実にした利権目当ての児童拉致・拘禁を拡大する動きに対決する、人権規範を踏まえた児相被害者を護り救援する動きがつくりだす大きな闘争の構図が国内に抬頭してきたことは、間違いありません。