日弁連の報告書を斬る

PDFのプリンタフレンドリバージョンは、コチラ

日本弁護士連合会が国連子どもの権利委員会に提出した
代替報告書–児相問題に関する批判的検討

⽇本弁護⼠連合会(⽇弁連)は、2018 年 2 ⽉にジュネーブで開催された⼦どもの権利委員会第 79 回予備セッションに向けて、「⼦どもの権利条約に基づく第4回・第5回⽇本政府報告に関する⽇本弁護⼠連合会の報告書」を 2017 年 11 ⽉に国連に提出しました。下記の URL から閲覧できます︓
https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/kokusai/humanrights_library/treaty/data/child_report_45_ja.pdf
しかし、児童相談所問題に関する限り、その内容は、厚労省の児相⾏政が⼦どもたちや家族に加えている⼈権侵害に対する追及を回避し、厚労省がさらに予算を獲得し利権を強化するための応援団として機能するという酷いものです。これでは、政府報告書の⼆番煎じに過ぎず、児童相談所の⾏政によって蹂躙されている、⼦どもと家族の⼈権を擁護することなど到底できません。児相問題について、⽇本の⼦どもがおかれた権利状況は「中世のようだ」とまで喝破した国連⼦どもの権利委員の前に、このような内容の代替報告書を出すとは、「⾃由と正義」を標榜するはずの⽇本の法律家として恥ずかしくないのでしょうか。
⽇弁連は、安保法制などで⼀⾒反権⼒的な姿勢をとっているように⾒えますが、実は、このように厚労省の権⼒に阿って、全国の児相に弁護⼠(もちろん、児相権⼒の代弁者です)を配置させることをかちとるなど、児相利権から⽢い汁を吸っているのです。その報告書がどのように児相による⼦どもと家族に対する⼈権蹂躙を平然と無視し、結果的にそれを容認するものか、当会は、⽇弁連代替報告書の児相問題に関連する記述を逐条的に検討し、⽇本の市⺠の皆様に、明らかにします。

2018 年 3 ⽉ 5 ⽇ 児相被害を撲滅する会(JCREC)

p.17「45. 一時保護やその後のケアプランの作成,実施において,子どもの意見を聴き,子どもに分かりやすく方針等を説明することが十分に保障されていない。子どもの意見が正当に重視される制度,体制の構築が急務である(条約第9条第22項,一般的意見8号41項)。」

「子どもの意見を聴き…」などと言うが、平然と「親を嫌う洗脳」を加える、暴力や向精神薬で子どもたちをコントロールしようとするなどの、児相の子どもに対する人権侵害の実態が、日弁連には全く認識されていない。そもそも乳幼児の場合は、説明しても理解できない。それゆえ、子どもと家族の人権を児相が主体的・意識的に重視する制度的保障の構築が急務であるはずであるが、児相の実態は、子どもを人質に取って、一方的な恭順を子どもと家族に要求するという、帝国憲法下の行政機関のような抑圧的対応をとっている。日弁連は、こうした強権的な児相行政の人権侵害について全く無頓着であるか、あえて見ようとしていない。
「親子分離後の親子関係修復への取組が不十分であり,同じ機関が親子分離と親子関係修復を行っているという問題もある。両者を別の機関が行う体制の検討とともに,ファミリーグループカンファレンス等の後者の手厚い取組を行うべきである。」
「別の機関が行なう体制の検討」とは、現行の児相における福祉機能(養育指導など)と司法機能(「一時保護」など)とを分離せよという主張とも理解できる。もし、それを「別の機関が行なう」べきだと主張するならば傾聴に値するが、日弁連はそのように明示的に指摘しおらず、明確さに欠ける。なお、そのように機関を分離した場合、司法機能の方は、厚労省の管轄から引き剥がすべきである。さもないと両機関の癒着が生じて事態の解決には何らつながらない。だが、日弁連はそのような指摘せず、厚労省の省益を損なう提言はまずいと考えているのか、極めて及び腰である。そもそも、親子関係修復の取り組みが不十分なのは、児相と児童養護施設が保護単価・措置費利権のコマとして子どもを長く確保しておこうとするからであるが、日弁連は、このような児相ムラの経済的インセンティブをもまったく考慮していない。

「46. 厚生労働省は,2013年に改正した「子ども虐待対応の手引き」において体罰は不適切であるとし(注5-1),2016年の児童福祉法等改正に際しての附帯決議(注5-2)を受けて体罰等防止のリーフレット(注5-3)を作成し,また,厚生労働省の課長が,対象を限定しないで集団全体に対してアプローチすること(ポピュレーションアプローチ)の重要性を指摘(注5-4)するが,各家庭に周知するには至っていない。体罰等の法的禁止とともに体罰等を含む不適切な養育の弊害とそれに代わる前向きなしつけ,子育て方法等を啓発するキャンペーンを強化するべきである。」

民法第 822 条には懲戒権が定められており、2016年5月18日衆議院厚生労働委員会において、盛山法務副大臣は、「体罰を子に対する有形力の行使と捉えた場合には、体罰が懲戒権の範囲に含まれることはないと断定することは困難であり、それが懲戒として許容されるかどうかは、それが子の利益のために行使されたものかどうか、子の監護及び教育上必要なものと認められるかどうかによるものと考えられます。」と、親権者の懲戒における体罰の合法性を述べている。ところが、民法に定められたこの懲戒権を、厚労省の児相行政はそもそも全く考慮せず、先走って「体罰等防止のリーフレット」などを作成して、民法の権利を否定し、拉致を強化しようとしている。これは、合法的な親の懲戒権を児相行政が否定しようとするもので、違法行為である。学校教育法第11条但書の規定同様、子どもの権利条約ならびに子どもの権利委員会の立場をふまえれば、民法で親権者の体罰を禁止することが確かに望ましい。ところが現状では、厚労省と法務省の見解の差異という省庁間縄張りの間のギャップが存在する。厚労省はこのギャップがいつまでも放置されているところに乗じて、児相による家族からの引き剥がしと利権強化に使う子どもの獲得にいそしんでいるのである。民法ではっきり体罰が禁止されれば、児相が拉致できる「虐待」事案が減るので、むしろ現状のままのほうがよいと考えている節さえ感じられる。
それゆえ、親権者の体罰禁止の問題は、厚労省に委ねるのでなく、法務省主導の民法改正によって行なわれるべきである。法律の専門家であるはずの日弁連が、そういう区別も判らないのでは、哀れと言うほかない。

p.19「53. 2017年児童福祉法改正により,一時保護が2か月を超える場合において,保護の継続が保護者の意に反する場合には司法審査が必要とされた(注6-3)。親子が分離された際に司法審査が入るようになったことは前進ではあるが,条約第9条第1項の趣旨からは,分離後速やかな司法審査が望まれる。なお,速やかな司法審査実現の障害となっているものに,裁判所及び児童相談所の人的体制整備の不足があることから,この点の改善が前提として必要である(注6-4)」

子どもの権利条約第 9 条 1 項は、分離前の司法審査を要求しているのであり、各国の児虐政策における運用もそのようになっている。「分離後速やかな司法審査」というのは、一体子どもの権利条約のどこを読んでいるのであろうか。日弁連としては、児童福祉法第33条が子どもの権利条約第9条1項に明白に違反しており、厚労省は留保の宣言もなくこの違法状態の児童拉致を続けていることを明示すべきであるが、この根本問題を無視している。これでは、法律の専門家の看板が泣く。
さらに日弁連は、「人的体制整備の不足」を、この違法行政の口実に使いつつ、厚労省のさらなる職員・予算を増やせという利権拡大要求に唱和しているが、これはまさに「盗人に追い銭」の類の主張であり、政府が、違法行政を即刻正すことが、いうまでもなく先決問題である。
「(4) 家庭環境を奪われた子ども(第20条) …54. 里親の養育指針は策定されたが,定期的な監査はされていない。児童福祉施設最低基準の見直しはされたが,物的人的環境はいまだ不十分である(注6-5)。
また,保護された子ども本人がどのような代替的養育環境で生活したいか,例えば里親家庭での生活か施設での生活かを選択できる余地は,里親支援やマッチング体制の不足等から里親委託数が少ない現状下ではほとんどない。」
そもそも、児相が次々子供を拉致し、強行的に家庭環境を奪って、社会的(代替的)養護にぶちこんで利権を拡大していることへの根底的な批判の視座が日弁連には全くなく、既存の枠組みのなかで、多少の修正を弱々しく懇願しているにすぎない。それどころか、児童福祉施設の「物的人的環境は未だ不十分」であるとして、厚労省の予算獲得の応援団と化している。
また、児相が家庭環境を奪った子どもに対する選択肢を、児童養護施設と里親だけに限っているのも大きな問題である。日弁連は、里親制度の問題を自ら認めているのであるから(下記、p.20-21 参照)オランダの OTS のような、早期に子どもを家庭に戻して、家裁の指導の下で養育を進める政策を考慮すべきであるが、それは全くなされていない。児相が、子どもが家に帰りたいと言っても子供を返さず、さらに、子どもが帰りたいと言うと困るから、子供が家に帰りたいと言っている限りは親に面会させないなどという、人身拘束長期化を自己目的にするかのごときとんでもない行政をなしている現実にも、まったく見て見ぬふりを決め込んでいる。

p.20「55. 被措置児童等虐待防止及びその対応等の規定が2008年改正児童福祉法に盛り込まれた。被措置児童等虐待の状況について,厚生労働省は,2015年以降の対応件数等を公表していない。公表済みの2014年では,1年間に全国で通告受理された件数は220件とされているが,特に児童間暴力,児童間性加害・被害についてネグレクトとして通告されていない実情にあり,暗数が相当程度あるものと考えられる(注6-6,注6-7)」

児相の児童虐待数について、放物線状に増加する「相談件数」を熱心に広報する厚労省が、自分に都合の悪い「被措置児童等虐待」の状況になると、途端に口を噤んで公表をやめてしまうという厚労省の行政は、あの有名な放物線グラフが何のために流布されているか如実に物語って余りある。しかし、日弁連は、この厚労省のダブルスタンダードには全く触れていない。
「暗数が相当程度ある」というのは指摘の通りで、とくに、児相収容所内における虐待数に至っては、全く実態を捉えていない、北朝鮮の経済統計の趣さえたたえている。厚労省の統計が、行政の意図を通すために歪められていることは、2018年2月の裁量労働制をめぐる法案審議でも暴露されている。日弁連は、この点については適切な問題点の指摘を一定程度行なっている。
「これは,被措置児童等虐待の 定義規定において,「生活を共にする他の児童による虐待行為の放置その他の施設職員等としての養育又は業務を著しく怠ること」(児童福祉法第33条の10第3号)とされており,「放置」「著しく怠る」という幅のある概念が明確化されていないことに一因があるものと考えられる。」
厚労省は、児童を家庭から拉致する時は、「幅のある概念」を最大限に振り回して児相の行政行為を正当化し、逆に児童養護施設内虐待が起こると、「幅のある概念」の最小限の方を使って、著しいネグレクトについても看過する。厚労省が、このように行政に都合のよいダブルスタンダードを使って行政の正当化を図っていることについて、日弁連は全く批判的指摘をしていない。

p.20-21「57. 一方で,現状においても里親家庭で被措置児童への虐待が発生しており,里親への子どもの権利,養育についての研修や緊急時の相談対応等のサポート体制が地方自治体により区々であり,また全般的に貧弱である(注6-10)。」

日弁連も認めざるを得ないように、施設措置を里親委託に転換しても、問題の抜本的解決にはならないということである。「サポート体制」を完備すれば、委託費めあての里親が、それでなくなり、問題は抜本的に解決するのか? むしろ問題は、子どもを次々と家族から引き離して「社会的養護」に取り込み、それにぶら下がった児童養護施設や、一部里親に甘い汁を吸わせて、全体として利権を拡大しようとする現行の厚労省の「社会的養護政策」にあることを、日弁連は見ていない。「全般的に貧弱」なところに次々と継ぎを当てるように予算を付けて行けば、日本の財政は破綻する。オランダを見習って、社会的養護政策の全面的な構造転換に着手すべきである。
「また,家族再統合支援の取組は不十分であり,例えば2014年3月公表の研究成果によれば,全国の児童相談所において,再統合に当たっての親支援について,厚生労働省の手引きなどを参照しつつ対応するにとどまっているとの回答が36.2%に上った(注6-11)。 」
現行の我が国の児相システムが、要するに社会的養護利権のコマとして社会的養護ムラに子どもを取り込む目的で制度が運用されていることを、「再統合支援の取り組みは不十分」という事実を通じて日弁連はある程度認識しているようである。だが、それは表面的な指摘にとどまっており、現行の社会的養護制度そのものに対する批判になっていないから、実効性が乏しいといえる。

p.21「58. 政府報告は,少年院及び少年刑務所の運用についてのみ報告するが,児童心理治療施設,児童自立支援施設における運用は明らかにしていない。」

要するに、法務省は人権に配慮してかなり真面目に国連に対応しているが、厚労省は、収容に関する検査を何もしていないか、検査したところ施設内虐待等が発覚したので、それを国際社会に対し隠蔽しているということである。このような、省庁間の人権意識の差異を日弁連は問題にしていない。厚労省をあくまで擁護する姿勢といえる。

「59.第3回政府報告以降,養子縁組制度については改善されておらず,養子縁組の一部は家庭裁判所の審査を経ず,また,必ずしも子の利益のためになされているわけではない。」

出産後の悩みを保健師に打ち明けた結果などの理由で、児童福祉法に定める「特定妊婦」に指定された母親から、苦労して生んだ赤ちゃんが出生直後に奪い取られる事案が相次いでいる。厚労省には、こうして児童相談所が獲得した赤ちゃんを、NPOを間にかませて、不妊などの理由で子どもを欲しがっている親に、NPOに高額の手数料を払わせることで斡旋するという、特別養子縁組(戸籍上も実子になる)を使った事実上の人身売買制度を構築しようとしている疑いがある。これが、子の利益のためになになされる制度であるかについては、日弁連の言うように甚だ疑問であるが、「特別養子縁組」制度の問題点についての具体的な摘示が全くなく、これでは実効性に乏しい。

p.23-24「66.政府報告は,『児童相談所の一時保護所について第三者評価の仕組みを設けるよう検討しているところである』と述べる。」

この政府報告の記述がいう児相収容所(一時保護所)の「第三者評価」については、このたびのlist of issuesでも、子どもの権利委員会が強い関心を寄せている。とはいえ、政府があえてその報告書でこれを持ち出してきたのは、第3回最終見解第63項において、我が国の児相システム全体について独立調査機関による調査が勧告されたところ、厚労省がこれを全く懈怠し、それに代わるものが必要とされたからであると考えられる。それゆえ、本来はまず、この厚労省の勧告履行懈怠について指摘しなければならないところであるが、日弁連は全く目を瞑っている。
「しかし,上記の仕組みは,一時保護所に対して第三者評価の受審を義務付けるものではなく,一時保護所が受審した場合に費用の一部を国が補助するものに過ぎない。これでは,一時保護所が第三者評価を受審しない可能性がある。また,第三者評価が行われるためには,施設が適切な基準を充たしているか否かが判断要素の一つとなるが,一時保護所の設備・職員の配置基準は児童養護施設の基準を準用しており(注7-1),一時保護所について独自の基準はない。しかし,一時保護所は被虐待児,非行児童,障がい児童等,様々な問題を抱える子どもたちを一緒に処遇していること,入所児童の出入りが多いこと等の特徴があり,児童養護施設とは設備や職員の専門性について必要とするものが異なる。そのため,一時保護所についての適切な設備や職員の配置基準が必要である。」
このような問題以前に、そもそも問われねばならないのは、この評価すべき「第三者」なるものの適格性である。この第三者評価を実際担当する団体は、厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000163963.pdf)が示す通り、その相当部分が、厚労省の外郭団体である社会福祉協議会や社会福祉士会などであり、すこしも「第三者」ではなく、いわば当事者身内のお手盛り評価だからである。
例えば、2015年8月に、相模原市児相の収容所(一時保護所)において、収容女児9人を丸裸にして紙一枚をさがすという、児相行政による性的虐待事案が起こったが、評価に入った社会福祉協議会は、所長に1割の減給1ヶ月のみという大甘処分を下しただけだった。東京都はこの評価を受審したとしているが、日テレで報道(2015年5月7日、News every.)された新宿の東京都児童相談センター収容所内虐待事案は全く問題にされていない。ドイツでこのような事件が起これば、責任者は厳罰、事件を起こした機関は閉鎖処分となるが、日弁連は、こういう身内評価には、そういう厳しい処分は到底期待できないことを全く問題にしていない。
「以上から,国は,一時保護所の設備・職員の配置基準を策定し,すべての一時保護所に対し第三者評価の受審を義務付け,併せて受審に必要な費用を全額負担すべきである。」
完全な、厚労省との利権拡大出来レースである。いきなり財務省に大規模な第三者評価システムを要求しても予算が通らないので、まず、わざと不十分な政策をつくり、その後日弁連や国連子どもの権利委員会に「一時保護所の…配置基準を策定し、受審に必要な費用を全額負担すべき」と要求させて、より多くの予算を財務省に認めさせる、という厚労官僚の手口に、日弁連は完全に乗ってしまっている。「一時保護所」がいろいろな種類の子どもたちを収容するところからすれば、当然、その配置基準は児童養護施設よりも手厚くなければならない、という予算要求になるのであろう。しかも、それだけの財政資金を使って、この「第三者評価」なるものが、児相に対しきちんとした評価ができるか、甚だ疑問である。行政効果の乏しい機関や行政手続をさらに増設する、厚労官僚の縄張り拡大策に過ぎないのであるが、日弁連はこれを見抜いていない。

p.28「77. 児童相談所の一時保護所は公的なシェルターであるが,一時保護所の数は少なく,多くの一時保護所が入所定員を超えており,子どもに対する十分な対応ができていない。また,自立援助ホームについても全国的に対応が間に合っていない地域が存在する。一時保護所利用では不都合が生じる子どもたちに対しては,NPO等の民間団体がシェルターを維持運営している状況ではあるが,公的な資金援助はあるが不十分であり,民間の寄付等により運営されてい
る状況である。

政府は,事情があって親の養育を受けられない子ども達の衣食住を国として提供する責務がある。そのための児童相談所の一時保護所及び自立援助ホームを早急に拡充すべきであり,また,各種民間の子どものシェルターに対する公的資金援助をも拡充すべきである。」
児童が行政権力の作用で閉鎖的空間に強制的に収容され、学校に通うことさえ禁止され、逃走しないよう常に監視されている「一時保護所」を「公的シェルター」などと呼んで、任意で子どもが入る民間のNPOのシェルターとを同一視することが、根本的に誤っている。このような、権力をもつ行政機関とそれがない民間との間にある、収容の法的過程の差異に関する無自覚は、とうてい法律の専門家のすることと思えない。
そもそも日弁連は、一時保護所の収容人数について国際比較を行なっているのであろうか。ドイツのクラップマン元国連子どもの権利委員は、我が国に一時保護所の数が多すぎることを指摘している。すなわち、日本では定員が3,030なのに対し、ドイツにはわずか305しかない。これでドイツでは、きちんと児虐政策が機能しているのである。なぜ、日本ではできないのであろうか?利権のコマに使う子どもを次々と児相が拉致して収容所にぶちこもうとしているから、危険な入所定員超過が発生しているのであり、それゆえ問題の解決は、現行の児相システムの抜本的な見直しによるほかない。これに伴って不必要に肥大化している児相収容所(一時保護所)を、ドイツ並みに抜本的にリストラすることこそが、子どもの人権を擁護するためにも、喫緊の課題のはずである。
「(1) 教育についての権利(含む職業訓練及び指導)(第28条)」
児童相談所に拉致され、その収容所に拘禁された子どもたちが、義務教育の学校への通学を禁止され、教育の権利が完全に否定されていることを、日弁連は何ら問題にしていない。

p.42「(b) 自由を奪われた子ども(第37条(b)~(d) )」

ここで日弁連が扱っているのは、少年非行などの、刑事司法に関わる事項のみである。ユニセフ発行の子どもの権利条約コンメンタール Implementation
Handbook for the Convention on the Rights of the Child が明記しているように、子どもの権利条約第37条は、児童相談所のような、「福祉」を理由とする人身拘束にも適用される。児相行政の第37条違反を指摘する姿勢が、日弁連には全くない。そもそも、子どもの権利条約といいながら、日弁連は、ユニセフのコンメンタール(https://www.unicef.org/publications/index_43110.html)をきちんと読んだうえで、この代替報告書を書いたのであろうか?

p.44「139 …少年冤罪が発生する原因は,以前から変わっていない。①警察が依然として自白偏重の姿勢を変えない。②子どもたちを代用監獄(留置場)に安易に収容し,③誘導されやすい少年の特性に十分な配慮せず,安易な誘導を行うなどの違法な取調べを行う。④物証や現代的科学的な証拠を軽視して見込み捜査を行い,当初の見込みに合わない証拠を吟味しない。⑤警察官個人が違法な捜査を行ったとしても,特別公務員暴行陵虐罪で立件される可能性はあるが,これ以外に警察官個人が責任を問われることは原則としてないため,警察官の違法行為を防止するには極めて不十分である。⑥法令違反行為をした少年に対する弁護士による援助等の手続保障が不十分であり,これが自白の強要や違法な捜査を生む温床となっている。」

警察ですら起こっているこれらの人権侵害は、児童相談所の行政においてはさらに強く展開されており、「虐待冤罪」を次々とつくり出している。誘導されやすい子どもの心理につけ込み、虚偽の「虐待」を自白させて、それを理由に「一時保護」の長期化や児童養護施設措置を強行するなどは、「一時保護」・施設措置の行政実績を上げたい児相の常套手段である。しかし日弁連は、警察についてはこれらの問題を指摘しながら、児童相談所が行なう同種の人権侵害については全く無視を決め込んでいる。不思議というほかない。

p.45「140 ii)犯罪少年・触法少年に対して,警察・検察・裁判所が,少年の黙秘権,証人尋問権,反対尋問権,全面的に国費による弁護士の援助を受ける権利(国費による弁護人・付添人選任制度)を実質的にかつ早急に保障し,それらの権利について明文の規定を設けるべきである。児童相談所は,一時保護した触法少年に対し,付添人選任権を告知することも必要である。2014年4月に改正された少年法により,国費による付添人が選任される事件の範囲は拡大した。しかし,成人の場合は対象事件であれば被疑者・被告人の請求により弁護人が選任されるのに対し,少年の付添人の場合には,国費による付添人が選任されるか否かは裁判官の裁量に委ねられている。成人と比較し て,発達途上にある少年への手続保障は明らかに弱い…」

同様の権利は、触法少年に限られることなく、すべての「虐待を受けた」として児童相談所に収容された児童ならびにその家族にも保障されなければならない。触法少年には「付添人(弁護士)選任権」が告知されるが、何の非違行為もしていないのに「被虐待」疑いで児相収容所に「一時保護」と称して人身拘束された児童には付添人選任権すら保障されないという権利状況は、まさに逆立ちというほかない。また、「被虐待」疑いで「一時保護」される児童には、生活保護を受けた貧困家庭も多いところから、国費による付添人選任は、この種の児童・家族についても保障されなければならない。例えば、オランダでは、これがきちんと保障されている。
この点は、日弁連代替報告書 iv)で主張されている、「少年の防御権」,「弁護人の取調べ立会権」(p.45)についても、「被虐待」疑いで一時保護された子どもたちとその家族に対して保障することが人権擁護上不可欠である。日弁連は、刑事司法に関係している弁護士が多いからか、刑事事件に関わった被疑者の人権擁護については熱心であるが、「被虐待疑い」で人身拘束された児童については、厚労省が張る「福祉」の煙幕に騙されて、同じ人権侵害でもほとんど問題にしないという誤りをおかしている。

「vi) 警察官,検察官,裁判官,児童相談所職員,弁護士に対する人権教育を徹底的に実施すべきである。国際人権(自由権)規約委員会は,2008年10月の総括所見で,『締約国は,規約の適用と解釈が,裁判官,検察官及び弁護士のための 専門的教育の一部に組み込まれること及び規約に関する情報が下級審も含めすべてのレベルの司法機関に普及されることを確保すべきである。』と述べている。…」

このような徹底的な人権教育が、児童相談所職員に対し不可欠であることは論を俟たない。しかし、ここで看過できない重要な点は、日弁連が、児童相談所が警察署・検察庁などと並ぶ事実上の司法機関として機能している事実をいつのまにか承認してしまっている点である。厚労省は、児相を表向き「福祉機関」と位置付けながら、実際には常勤弁護士を全児相に導入するなどして、事実上の司法機関化する政策を取り続けるという、ダブルスタンダードの政策を遂行している。このことこそ、2010年の第3回審査の時に、クラップマン委員が問題にした点であった。もともと福祉機関であったはずの児童相談所が、いつの間にか司法機関化している事実を、法律の専門家のはずの日弁連がなし崩し的に黙認してしまっているのは、大きな問題である。同様の問題は、p.47の「性被害を受けた子ども…への聴取につき児童相談所,検察,警察の連携による協同面接(司法面接)が実施されており…」という記述にも現われている。人権上の訓練も、法律知識も十分でない児童相談所職員が、司法面接に関与することの問題を、法律の専門家であるはずの日弁連は認識しているのか。
問題は、人権教育をはるかに超えている。児相の福祉的機能と司法的機能とをハッキリ峻別して、後者は、警察ないし法務省の管轄に移したうえ、しっかりとした法律・人権の意識を「専門的教育」によって職員にたたき込むことこそが重要である。

《全体としての問題点》

1. 厚労省の政策に対する批判的視点が殆どなきに等しく、厚労省の主張を鵜呑みにし、児相にたいする性善説的理解が著しい。
2. その結果、児童相談所がおかしている、子供と家族の権利侵害の問題を、日弁連は殆ど閑却している。
3. 第3回の日本に対する審査で出た、児童相談所の司法機関化という厚労省の動きについても、これを黙認し、何ら批判していない。
4. その結果、日本の児童相談所がつくりだしている重大な人権侵害について、国連子どもの権利委員会に問題提起をまったく行なわない結果となっている。これでは、子どもの権利に関わる代替報告書とは到底言えない。