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始まった! 児虐利権をめぐる法務省と厚労省のバトル

法務省が、「児童虐待とたたかう法務省プロジェクトチーム」を立ち上げた。2020年初めにも提言を取りまとめる予定であることが、各メディアで報道されている。
ここで、すぐに疑問が頭に浮かぶ。なぜ、厚労省ではなく法務省なのか、ということだ。従来児虐行政は厚労省が仕切っており、児童虐待防止法は厚労省の所轄。児虐関係のNPOなども、厚労省と結びついてきた。そこに、突如として法務省が割って入ってきたのだ。
これは、明らかに、法務官僚と厚労官僚との間で、児虐利権をめぐる省庁間バトルが始まったことを意味する。いきなりの公然としたプロジェクトチーム立ち上げであり、ある意味では、法務省から厚労省への宣戦布告の趣さえ備えている。

法務省には、そのニーズが実はかなり前からあった。最大の理由の一つは、少年院がどこもガラガラになって、リストラの危機に瀕しているという現実である。少子化に加え、最近の少年は、ますます軟弱にふやけてきて、昔のようなヌンチャク片手のワルになり非行を犯す気すら起こらなくなったということだろうか。”こんなにガラガラなら、少年院は全国に1つだけでいいよね?” と財務省に言われかねない。いうまでもなくこれは、法務省の省益縮小を意味する。かつて児童養護施設が戦争孤児がいなくなり児童虐待に定員充足の道を見つけたのと同じシナリオが、今度は少年院で顕われてきたのである。。

厚労省の児童虐待ビジネスモデルは、「官出数字、数字出官」戦術で大成功をおさめ、省益の一大成長分野となった。検察や少年院を抱える法務省は、従来これを指をくわえて見ているしかなかった。
しかしここに、おおきな転機が訪れた。それが、相次ぐ凶悪虐待事案における児相の見殺しに対する世論の批判、児相職員の猥褻・暴行などの不祥事、そしてこの3月の、児相行政に対する国連勧告である。手厳しい勧告に狼狽した外務省が、同じ勧告を国連に繰り返させないため、児虐政策を厚労省にこれ以上任せてはおけない、と悟り、法務省の応援団に転じたことも考えられる。国会では、法務委員会で、厚労省の児相行政に対する批判の質問が委員である議員から出されるようになっている。これも、児童虐待は厚労省ではなく法務省へ、という機運を高める一環となるだろう。

法務省が考える児虐政策のモデルは、検察官が主導権を握り、司法面接を1回だけおこなって、検察主導で主として凶悪児童虐待に対応していこうというもののようだ。司法面接は、厚労省御用医師の山田不二子が積極的に日本で普及を図り、児相職員を相手に有料講習会を開催するなどしていたが、このお株を法務省が召し上げる、ということになる。すでに福岡には、「子どもルーム」という、司法面接用の室ができあがっている。ここで司法面接を行うとき、児相職員は一応招かれるが、オブザーバーで、ほとんど発言すらできない。ガラガラの少年院を、「児童虐待をした親子の共同生活によるリハビリ施設」に転用する展望も生まれてくる。厚労省はこれまで、日弁連と組んで児相に弁護士を配置するなど、児相の疑似司法機関化で省益確立を図ってきた。だが、こうした政策は、ある意味で法務省の縄張りに厚労省が侵入していく過程でもあった。この厚労省の領域拡張ドライブに反撃が始まったとみることもできる。そして長期的には、児童虐待防止法や、児童福祉法の児相関連条項を、法務省に移管させることが目標となる。

厚労省がこれに直面し、大いに焦っていることは想像に難くない。これまでは、凶悪虐待事案が起これば、それを奇貨として”児相にもっと予算を!人員を!”キャンペーンを起こすことができたが、今や、凶悪事案が起これば、”児虐案件は厚労省=児相には能力がないから検察へ”、という流れを強めるだけになりかねないからだ。児相におけるSBS(山田不二子氏が唱道した、「揺さぶられっ子症候群」)や軽微事案での拉致も同様だ。すでに検察は、SBS単独では親を起訴しない方向になっているという。これまでの児相による拉致の口実が、次第に塗り消されてきているのである。

この法務vs厚労バトルは、児相被害者にとってはかなりの程度に朗報である。法務省が厚労省から児虐利権を奪うことの正統性の一つが、国連勧告で指摘された児相の人権侵害にあるからだ。”こんな、子どもの権利条約違反の人権侵害を繰り返している厚労省=児相に、もう児虐政策は任せておけない!”ということだ。児相が子どもの権利条約違反の人権侵害を家族・親子に加えるほど、厚労省は、児虐利権を法務省に奪われるリスクを高めてゆく。おのずと、厚労省=児相の対応は慎重にならざるを得ないだろう。それでも酷い人権侵害を児相が加えてきた場合は、児相にビビるのではなく、遠慮なく衆議院の法務委員をしている串田議員辺りにしっかり具体的にご注進すればよい。もちろん、凶悪虐待事案については、警察→検察 という児相頭越しのルートが確立することで、より有効な抑止と取り締まりが期待できる。軽微・凶悪どちらについても、子どもの権利がこれによってより強く護られることになる。

弊会が尽力して勝ち取った国連子どもの権利委員会勧告が、こうした省庁間バトルという迂回したルートであっても、日本の子どもたちと家族の人権をより大きく保障することになってきているわけで、弊会の活動が大きな社会的役割を果たしていることは、弊会にとっても大変喜ばしい。河井法務大臣は選挙スキャンダルで辞任してしまったが、ひきつづき、法務省ならびに国会法務委員会の動きには注目していきたい。