児童相談所・施設からの脱出マニュアル

 最近、東京都(児童相談所)、精神科病院、そして実の母親を被告に相手取って提訴した高校生の火山氏が、度々児相収容所や委託保護先から脱出したことを自ら述べて、児相や児童養護施設等からの子どもたちの脱出があらためて関心を集めるようになりました。
児童相談所職員に「一時保護」されたり、場合によっては親子喧嘩の果てに家出して児童相談所に子供が自ら「保護」を求めたものの、これまで通っていた学校にも行けず、友達にも会えず、児相内で児相職員に暴行・暴言・猥褻行為等を受けるなど、まるで刑務所の囚人のような生活環境に嫌気がさして児相収容所から脱出を試みる子どもたちが後を絶ちません。ネット上の知恵袋サイトにも、児相からの脱出の仕方について教えて欲しいという投稿がなされるようになっています。昨年11月7日には、名古屋西部児相の3階の手洗所の窓から子供が脱出を試みましたが、3階は高すぎ、子供が地面にたたきつけられ死亡するという痛ましい事故が起こりました。ご冥福を祈ります。
最愛の我が子の児相からの自発的な脱出は、ご家族が児童相談所に奪われた我が子を早期に奪還するため、たいへん効果的な方法です。今から15年ほど前の2000年代、お子様が児相収容所や施設から脱出することを促し、その後児相長に一時保護の解除を要求して、それによりお子様の奪還を図る児相被害者団体が存在しました。残念ながら、この団体は事情により活動を停止してしまいましたが、その後もお子様の自発的脱出によりお子様を奪還したご家族の情報が弊会に寄せられております。
そこで本記事は、弊会がこれまでに集めた児相被害情報に基づき、児童相談所に拉致され、児童養護施設等に拘禁されたお子様を、児相等からの脱出とその後のご家族側の対応により奪還するノウハウを出来るだけ実用的にまとめました。ご参考になれば幸いです。

児相に拉致される前の、普段からの親子の生活での準備

児相は最愛のお子様を、保育園から、学校から、あるいは公園から、ある日突然に拉致してゆきます。その日はいつ来るか全くわからないので、常日頃からの準備が大変重要です。
お子様に、

ある時突然、知らない大人があなたの前に現れ、『じどうそうだんしょ』という怖~いところに無理矢理連れて行って、あなたを刑務所みたいな暗いところに閉じ込めてしまうかもしれないわ。こうして攫われたら、あなたはもうお母さんやお父さんと会えなくなって、その牢屋みたいな収容所の中で、職員はあなたを殴ったり丸裸にしたりしながら、『お母さんやお父さんが嫌いだ』とあなたが言うまで許さないのよ。ご飯も、不味いものを少しだけしか食べさせてくれないし、変なお薬をのまされるかもしれないわ。そうなったときあなたはどうすればいいか、教えてあげるから、お母さん(お父さん)の言うことをよく聞いて、しっかり覚えておきなさい。

・・・と言って、次の用意をしましょう:

  1. ご自宅の住所、電話番号、鉄道やバスの最寄駅(停留所)名を、しっかりお子様に暗記させましょう。何度もお子様に言わせて、記憶が確実になるよう努めましょう。
  2. もし『じどうそうだんしょ』という人攫いに連れていかれたら、スキを見て必ず自分で脱出して家に戻ってきなさい。お家でお母さん・お父さんは心配して貴方をずっと待っています。そうしないと何年もお母さんやお父さんに会えなくなり、貴方の一生は滅茶滅茶になってしまいますよ」としっかり言い聞かせましょう。そして、児相収容所に拘禁中は、絶えずおうちにかえりたい! お母さん、お父さんに会いたい!」と叫ぶように言い聞かせましょう。しばしば子供がこれを大きな声で言うと、児相側も記録に留めざるを得なくなり、後日の子供の意思に関する証拠になります。
  3. 瀬戸内海の孤島にある「曙学園」という施設から奇跡の大脱出を図る子供たちを描いた、宗田理著『ぼくらの大脱走』(角川つばさ文庫、ポプラ社)という本があります。子供向けフィクションですが、施設内での職員による子供たちへの暴行や独房拘禁などが、かなりリアルに描写されています。この本を我が子に読ませるか親が読み聞かせて、お子様が、このストーリーを追体験するゲーム感覚で児相収容所ないし児童養護施設から脱出できるよう、心の準備をさせておきましょう。多少冗長に思われる描写もあるので、読み聞かせるとき、そこは適宜端折ってもいいでしょう。
  4. お子様と一緒にパスポート事務所に行き、お子様の写真を撮って、パスポートを作っておきましょう。以前家族で海外に行った時のパスポートがあるならば、有効期限を確認してください。もし、期限が1年以内になっていれば、更新手続きできます。常に最新のものを手元に用意しておきましょう。
  5. 外国籍のお子様の場合には、お子様の本国のパスポートや在留資格カードの提出を児童相談所や児童養護施設から要求されることがありますが、絶対に渡してはいけません。16歳未満の子供は,在留カードの常時携帯義務が免除されていますから、親御さんが保管しておいて問題ありません。児相や施設はこのことを知っているので、施設等に渡すと、施設等はこれを子供に携帯させることなく、保管し人質のように使って日本から出国できなくするのです。必ず、親が保持しましょう。

脱出のチャンスとしては、施設外の学校に通っているならば、通学時ないしは在校時がよいでしょう。部活等で外出した時もねらい目です。
高校生になると、施設により、外出や外泊、連泊が可能な場合があります。学校の夏季、冬季など長期休暇時には、とくに脱出の機会が増えます。
なお、児相収容所ないし保護委託先施設からの脱出は、あくまで、お子様の自発的意思とそれによる行動が大前提です。ご両親ないしその知人などが力づくでお子様を連れ帰ると、誘拐罪などの嫌疑をかけられる虞がありますから十分ご注意ください。
ただし、18歳を超えて成年者となったお子様については、親がお子様の入所施設に赴いて、お子様の同意が得られれば、自由に家に連れて帰れます。施設長の収容児に対する権限は親権を代替するものとして児童福祉法に規定されているので、18歳を超えた成年入所者については、児相長ないし施設長の権限が一切及ばないからです(これについては、別記事を参照してください)。

脱出する時の電車賃やバス賃の心配はいりません!

児童相談所や児童養護施設が管理する領域からお子様が脱け出すことに成功! でも、お家は遠いところにあり、到底歩いては帰れません。
脱出時にお子様は、帰宅に必要な交通費を所持していない場合が多いです。お子様はどのようにして家まで戻ればいいのでしょうか。スマホやSNSでお子様と連絡がついているとしても、お子様にそれでお金を送ることはできません。
近くに交番があるかも知れませんが、警官は児相と同じ国家権力です。事実においても、警察と児相は緊密に連携していますから、脱出したお子様が交番に立ち寄ることは大変危険です。脱出してきたとお子様が言えば、直ちに警官に拘束されて児相に戻されるでしょう。
児童相談所に収容された児童が示し合わせて脱出に成功したのはいいが、真夜中でパジャマ姿。それで荷物をもって街をうろついていたところ警察官に補導され、児童相談所に戻されてしまった子供たちもいます。
また、児相の窓から警官が歩いているのが見えたので、逃げたくて叫んだが警官は対応してくれなかった、と嘆くお子様もいます。
警察官がお子様の児相等からの脱出を助けてくれることは絶対にありません。
また、コンビニも安全とは言えません。コンビニのアルバイト店員が、「児童相談所は子供を守る砦」などという厚労省の宣伝を鵜呑みにしていて、児相に連絡されてしまう危険があります。
しかし家に帰り、親権者と握手やハグで再結合しない限り、脱出は完成しません。パジャマで夜の街をうろつくのではなく、ただちにタクシーをつかまえて家に戻るべきでした。
お子様にお金の持ち合わせが無くとも、お子様だけで公共交通機関やタクシーを使うことができるのです。そのやり方も、あらかじめしっかりお子様に教えておきましょう。方法は、いくつかあります:

  1. 鉄道を使う: 鉄道には、「便宜乗車」という制度があります。これは、お子様が駅員に相談し、ご両親等が到着駅で待っていて運賃・料金を支払うことを駅係員が確認した上で、お子様を乗車時には無料で鉄道に乗れる特別な切符を発行するものです。この時、駅員が確認するためご自宅の電話番号が必須となりますから、必ずお子様に記憶させておいてください。
  2. バスを使う: 一般にバスは、乗車時に整理券をとって降車時に料金を払うシステムになっています。このようなバスでは、降車時にお金を持っていない旨を運転手さんに申告すると、「次回、お金をもって乗った時、2回分払ってください」というバス会社のマニュアルになっているそうです。つまり、次に払う意思があるならば、脱出した時には手持ちのお金が無くともバスに乗れます。
  3. タクシーを使う: こちらも鉄道と似ていて、運転手がお子様の自宅に電話をし、自宅行きで到着後親などから料金を支払う旨の確認がとれれば、5000円程度の料金までなら、子供だけでもタクシーに乗車でき、自宅に戻れます。

GPSにご注意!

位置を知る方法として、いまは、人工衛星を利用した全地球測地システムであるGPSが広く使われています。
施設等でスマホやタブレットを貸与されている場合は、施設等の領域から出たらすぐに、それをお子様が廃棄する必要があります。施設等が管理するスマホやタブレットでは、施設側がその機器の所在場所をGPSで検索でき、お子様の脱出先の特定と再拉致に繋がってしまうからです。学校に置き去りにしてもいいですし、そうでなければ、施設の領域から出てすぐ、貸与されたスマホを施設等の近くで棄てましょう。
お子様が児相や施設から履いてきた靴や着て来た服などにも、GPS素子が埋め込まれている可能性があります。このため、衣類や靴は、全て家に元からあるものに取り換えるか新品を購入して着用させる必要があります。施設の靴や服は、家から遠い場所に設置されたゴミ箱に即刻廃棄しましょう。

脱出してきたら、ご家族は速攻の対応を!

お子様は、いつ脱出してくるかわかりません。予告はありません。いつお子様が脱出してきても対応できるよう、親はしっかり準備をしておきましょう。
お子様がご自宅にめでたく自分の意思で戻ったら、すぐに日付が入るカメラで親権者とお子様がハグして、その写真を撮りましょう。親権が実質的に回復した証拠の写真ですから、これは、必ず親権者である必要があります。親権が無い兄弟姉妹やお祖母さん・お祖父さんなどとハグするのも嬉しいでしょうが、その写真では法的効果がありません。
脱出後もそのままお子様をご自宅に住まわせておくことは、言うまでもなく大変危険です。法的にはいぜん「一時保護」ないし「施設措置」状態にあるので、児相がいつ再拉致に来ないとも限らないからです。火山氏の場合、児相の用意した車が家の近くに来て、児相職員ら10人くらいが登校する火山氏を暴力的に車に押し込め、その際、再度「一時保護」するという書類を火山氏に示したということです。
しかし、「一時保護」について、児童相談所は、脱出後「行方不明」を理由として一時保護を解除するケースがあります。2000年代に行なわれた、児相に拉致された子供の脱出を促し、そののち児相被害者団体が児相所長に「一時保護」解除を求める運動においても、結局所長は、児相から逃れた子供たちの「一時保護」解除に応じていました。
なお、お子様が施設等から自宅まで逃げてこなくとも、児福法27条で施設措置されたお子様を、面会などの際にお子様の同意の下で親が自宅に連れ帰り、もう施設に返さないことによって、そのまま施設措置が解除された事例もあります。
しかし、とりわけ施設措置の場合は、帰らないと、児相が警察に連絡し、実親が「誘拐罪」の嫌疑をかけられるリスクがあります。その場合、お子様は当然再収容されてしまいます。
それゆえ、全く予断は許しません。お子様を児相権力の拘束から護るため、親側の真剣で素早い対応が求められます。
お子様を再拉致から護るため、次のような対応を行ないましょう:

  1. もし、お子様のパスポートの用意がまだないか、有効期限切れ間近ならば、写真を撮影してすぐにパスポートの申請を行いましょう。これは、後に述べる、国外脱出の場合に必要となります。
  2. とりあえず、ご自宅から遠方の、児相には知られていないご親戚ないしは信頼できるご友人などにお子様を預けましょう。施設収容の時に通っていた学校が高校ならば、親権者名で退学させ、義務教育ならばご両親がお住いの近くの小中学校に転校させます。
  3. 脱出によるお子様奪還後にとるべき法的手段としては、まず、児童相談所長に宛てて、「一時保護解除」「施設措置解除」を請求する文書を送ります。しかし、この文書を送っただけでは力不足です。そこで、同時に裁判所に対し、「人身保護請求」を出すのが効果的です。お子様の身柄が児相に拘束されている時にこの請求を出してもあまり効果は無いのが実情ですが、お子様が脱出し身柄が既に親のもとにある場合は、話は別です。「人身保護請求」が、事実上児相長への処分解除を司法に判断させる効果を持つからです。

お子様のため、海外逃亡のすすめ

しかし、どんなに遠方でも、日本国内ならば児童相談所がどこかに存在し、その管轄区域になっています。お子様を拉致拘禁していた児童相談所が、その遠方の児相に再拉致を頼まないとは限りません。
お子様を究極に児童相談所の再拉致から護るための最善かつ最も強力な方法は、児相の権力が及ばない日本の法域外、つまり海外への逃亡です。2008年のオランダ母子亡命事件いらい、児相と児童養護施設の魔手から逃がれるため海外在住を選択したご家族は、数多くいらっしゃいます。
海外逃亡の方法はいくつかあるので、そのノウハウについて簡単に記します:

  1. 国内の留学サービスを使い、お子様を海外留学させる: 最近は、海外留学の支援をする業者が多数あり、ネットで容易に検索できます。そこに依頼して、お子様を海外の英語学校やインターナショナルスクール、現地の高校などに留学させることです。お子様が既に義務教育を卒業していれば、これは問題ありません。また、高校生の年齢ならば、現地でホームステイをしながら親から離れて生活できるでしょう。現に、日本国内でも、地方都市の伝統進学高校には、農村部出身で下宿して高校に通う生徒が大勢います。費用は、1年間の英語を母国語とする国の留学で、ホームステイ費用込み、約3~400万円といったところです。正直のところかなり値が張りますが、フィジーなど旧英領植民地で、最近これよりずっと低廉な費用で留学生を募っている例もあります。留学は、もちろん、お子様に一生モノの強い英語力がつき、大学入試も帰国枠で受験できることになり大変有用です。中学生の場合は、寮が付いたインターナショナルスクールという可能性もありますが、その場合、渡航時点である程度語学力が無いと厳しいでしょう。
  2. 海外の日本人学校に通わせる: 海外の主要都市には日本人学校があります。これは、現地で駐在員や長期滞在ビザで独立自営業を営むご家族の子女の教育のため設けられている学校で、日本の教科書を使い日本の学習指導要領に従って日本語で教育がなされます。入学のためには、まず親御さんが、海外滞在のための長期ビザ(ある程度の額の定期預金を当該国の銀行にすると発給されるケースがあります)を申請して海外に定住するか、ご親戚に偶々海外駐在中の方がいれば、その方を頼って海外に行くことになるでしょう。なお、海外日本人学校は日本国の領土というわけではなく、校内に日本の法律は適用されないので、「日本人学校」であっても、そこに日本から児相職員が出張してきて子供を再拉致していくことはありません。
  3. 難民申請をする: お子様が児童相談所に拘禁された後、児相収容所や児童養護施設内で職員により、通学禁止・暴行・暴言・猥褻・独房拘禁・処方箋によらない向精神薬投与等の迫害を受けていた場合、再拉致の危険はお子様がそのような人権侵害を再び蒙る危険と同義となりますから、それから逃れるための難民申請を海外の政府に行なえば、認められる可能性が出てきます。国連は、日本の児相収容所内に人権侵害が存在する事実を認識しており、既に国連子どもの権利委員会がその全面閉鎖勧告を出しています。お子様が児相収容所ないし児童養護施設で蒙った人権侵害の詳しい具体的な実情を英文でまとめ、併せて、国連の2019年子どもの権利委員会ならびに2022年人権委員会の対日総括所見英文版を国連のウエブサイトからダウンロードして持参します。難民申請は、日本からの直行便で到着した空港で行うこととなっています。比較的受け入れられやすく、生活条件もいい国として、ニュージーランドがあります。この場合、必ず、日本からオークランド行きの直行便に乗らないといけません(ソウル経由等の格安チケットは不可)。また、忘れずにNZeTA(電子渡航認証)の取得してください。
  4. 国際結婚などにより、お子様の国籍が日本でない場合、あるいは日本国籍と親の国籍の二重国籍となっている場合: この場合は、日本以外のパスポートを使って直ちに日本を出国、お子様が国籍を持つ母国に帰国します。お子様が二重国籍ならば、行政書士事務所に依頼し、母国帰国後に日本国籍の喪失手続きを行なうこともできますが、一旦出国してしまえば、それは必ずしも必要ありません。

むすび

日本の児童相談所による「一時保護」と称する子どもの家族からの引き剥がしと人身拘束、そして親子の長期隔離は、日本が批准する国際人権法に違反する人権侵害の行政行為であり、国連人権関係委員会から繰り返し是正勧告を受けています。それゆえ、児相被害ご家族が、社会的養護関係機関が利権を貪るのに使われている我が子の脱出というかたちで、国際人権法に違反して権力が攫っていったわが子の奪還を図ることは、極めて正当な市民の国家権力に対する対抗の手段です。
自信をもって行動して下さい。この方法で、出来るだけ多くのご家族が、我が子と再び暮らせるようになることを、強く願っております。

【ご注意】児童相談所や児童養護施設との闘い、並びにお子様奪還の努力は、それぞれの児相被害ご家族ご自身の責任で行うものです。この「マニュアル」は、そのための一つの参考資料としてご提供しているもので、各児相被害ご家族ご自身の判断にてご活用ください。この「マニュアル」を用いた結果生じた損害や不都合等につき、弊会は一切の賠償などの責任を負うことはできませんので、予めご承知おきください。

(編集履歴)2023年7月25日: 児相収容所から脱出しパジャマ姿で夜の街を歩いていた子供たちの失敗について加筆。