「児童相談所の体制強化」を削除した高市自民党――参政党の児相問題に取組む姿勢と比較
1月23日、前回の選挙からわずか1年3ヶ月で、高市早苗首相は衆議院を解散しました。27日(火曜日)公示で総選挙が行われることになりますが、その費用は800億円を超えるとされています。自分の内閣への支持率が高いうちに選挙を行い、自民党の議席を増やそうという発想以外に合理的理由が見当たらない「身勝手解散」という批判も出ています。仮に総選挙で高市氏を支持しようと多くの有権者が自民党に投票し、その議席が増えたとしても、自民党議員の中には従来の既得権益などに深く染まった反高市派の議員も大勢いますから、高市氏の考える政策がすべて通るかどうかは未知数です。
事実、その政策の中身を『自民党政策BANK』で詳らかに見ると、その多くは、これまでの政策と変わっていません。「積極財政」の名のもとにアベノミクスでやっていた補助金等のバラマキをこれからも続けるというならば、日本政府の財政は破綻に向かう方がむしろ自然です。このため、解散の宣言と前後して、長期国債金利の急上昇と大幅円安という問題が顕在化し、高市首相の経済運営に強い警鐘が鳴りました。しかも、赤字国債を笑顔で引き受けていた黒田日銀総裁は退場し、いまや日銀は、国債を買うのに渋い顔を向ける植田氏に代わっています。高市首相の思い通りに日銀は動きません。選挙で自民党を支えていた公明党は、連立を去りました。
「児童相談所の体制強化」が消えた自民党『政策BANK』
とはいえ、児童相談所政策については、高市政権下で、昨年の参議院議員選挙の時と比べて微妙な変化がみられます。今回の選挙に向けた自民党の詳細な政策集『自民党政策BANK』の「こども・子育て」の項目を読むと、「妊娠前の段階から、妊娠期、子育て期までを通じた包括的な切れ目のない支援を強化する」などと書かれています。しかし、児童相談所についての言及は一切ありません。
ここで、昨年7月に行われた参議院議員選挙むけの『政策BANK』において、その「社会保障・子育て」の項には次のように書かれていたところが改訂されています:
「弁護士の配置など児童相談所の体制強化を盛り込んだ「改正児童虐待防止法」を着実に施行します。また、妊娠・出産・子育てへの切れ目ない支援を進めるとともに、ひとり親家庭をはじめとする子育て世帯への支援を充実し、虐待を生み出さない環境づくりを進めます。」
つまり高市自民党は、この度の衆議院議員選挙に向けて、「児童相談所の体制強化」を含む一文を政策から削除したのです。この政策文言の改訂が、児童相談所・社会的養護政策による家族破壊などの問題点を児相被害者が強く指摘するようになってきたことを反映したのかどうか、それはまだわかりません。
そもそも、この「児童相談所の体制強化」という自民党の政策は、2019年3月20日に日本共産党の山下芳生元参議院議員が参院総務委員会の質問で「児童相談所や一時保護所の体制強化や地域の受け皿づくりが必要」と述べたのと瓜二つでした。共産党が児童相談所の体制強化を主張するのは、スターリン統治下にあった1920年代ソ連の「集団主義養育」を日本の児童養護施設において実践しようとした養問研を中心とする運動を基盤とする利権を維持しようとしているからだと考えられます。かつて自民党は、こういう共産党と同じ「児童相談所の体制強化」を主張していたのです。
自民党は長年、全国の児童養護施設の利権を代表する業界団体である「全国児童養護施設協議会」と密接な関係にある「児童の養護と未来を考える議員連盟」を取り仕切っていました。安倍元首相がこの議連の代表をつとめていたこともあり、自民党は、児相と社会的養護の拡張に大変熱心でした。児童相談所と社会的養護利権に、4000億円を超える血税を注ぎこんで、児童相談所による社会的養護向けの「子供狩り」を推進していたのです。
特に重大なのは、社会的養護に供給する子どもたちをより多く確保しようと、児童相談所が実親からその実施を拉致しやすくするため、安倍政権下の自民党が民法822条に定められていた「懲戒権」を廃止し、それによって親を我が子を叱っていいかどうか迷うような状態に追い込んだことです。
これにより、児童相談所によって実親や学校の親友などから「虐待」を口実に連れ去られた多くの子どもたちが児童養護施設に何年も人身拘束され、本人の能力に見合った学校にも進学できず、時として職員などの小児性愛的嗜好の対象とされるという状況下で呻吟してきました。そういう子どもたちをコマとして、施設経営者は補助金を受け取り、それで施設経営を維持してきました。
では、高市自民党は、安倍政権以来の社会的養護利権を血税で涵養することをやめたのでしょうか? これからの日本を担う子どもたちを利権めあてで「狩る」ことを自民党政権はやめたのでしょうか?
おそらく、そうではないと思います。高市自民党は依然として、その『政策BANK』で、「妊娠前の段階から、妊娠期、子育て期までを通じた包括的な切れ目のない支援」と称して、児相による「特定妊婦」の恣意的な指定と「特定妊婦」からの新生児拉致を続けることをにじませています。
とはいえ、自民党が、公式政策から「児童相談所の体制強化」を削除した理由として、児童相談所被害を訴える全国の家族の声が高まってきたことがあるのは、疑いありません。児相批判の声をあげてきた、わが子を奪われた被害者の熱い思いが、次第に政治の中枢にも届いてきたのです。
「子どもと一緒にいたい」親の気持ちを汲む参政党の政策
とはいえ、日本の政治情勢を全体としてみれば、児童相談所を使って子どもを奪い、利権にまみれた児童養護施設等に送り込む社会的養護政策に、より厳しい姿勢で対峙している政党があります。それが、参政党です。
参政党は野党です。それゆえこの度の総選挙は、一面において、自民党と参政党との対立という様相さえ呈しています。
このため、両党の政策を、児童相談所・社会的養護政策をめぐって比較してみることは、有権者が投票先を選択するうえで有益だと考えられます。
参政党は、これまでに発表した党の公式ウエブサイトの記述などにおいて、児童相談所が「福祉と権力の二面性を持つ特異な行政機関」であり、戦後の戦争孤児対応という福祉政策から始まった歴史を持ちながら、現在は、「一時保護」の濫用により親子関係の分断・家族の破壊が起きやすい構造になっている、とその問題点を的確に指摘しています。
特に、ある参政党地方議員が党の公式サイトに寄稿した記事「児童相談所の真実」は、以下のような具体例を挙げて制度の問題点を強く訴えています:
- 「相談件数」の急増に比べて死亡事例は横ばいで相互に無関係;
- 「一時保護」が長期化し、学校教育の機会を奪われた事案が多い;
- 児相職員の交代で急に保護解除になるなど、恣意的な運用が横行している。
このような内容から、参政党は現行の児童相談所運用についてかなり懐疑的・批判的な立場をとっていると判断できます。そしてこの参政党の政策は、家族の絆を重視し、「子どもと一緒にいたい」親の気持ちを踏み躙る家族への国家介入に反対する立場であることがわかります。
自民党と参政党との児童相談所政策を比較
| コメント | |||
| 基本スタンス | (少なくとも高市内閣以前は)児相の体制強化。それにより「虐待防止」できるとして、家族への国家介入を肯定。 | 児相の運用を強く批判(「一時保護」濫用、家族破壊)。家族の絆を重視し、国家の家族介入を最小限にするよう要求。 | 自民党は児相を基本的に肯定し「守り強化すべき制度」と見なす。参政党は児相を問題視し「廃止に向かうべき仕組み」と捉える。 |
| 具体的な政策等 | 児相弁護士配置・人員増強。虐待連絡ダイヤル「189」の全国導入・親の「懲戒権」廃止。こども家庭庁による家族介入、児相による家族破壊を引き続き容認。 | 議員発信で児相の歴史的問題(戦争孤児対策からの権力二面性)指摘。 子育て経済支援(月10万円給付、所得制限撤廃)で家族基盤を強化、児相介入を間接的に減らす。 | 自民党は法改正・予算投入で利権強化に積極的で、児相体制強化は共産党等と一部重なる。参政党は家族への経済支援中心。児相改革は未だ提言発信レベルで、「懲戒権」復活等は未だ提言せず。 |
| 予算・支援の重点 | 児相・社会的養護施設への予算拡大(約4000億円規模)。「虐待防止」を理由とした社会的養護へのインフラ投資。 | 直接的な児相予算について言及なし。子育て世帯への現金給付を重視し、経済格差解消で虐待リスク低減。 | 自民党は児相制度に投資、これに対し参政党は家庭に投資。 自民党の予算は児相強化に充てられ、参政党は家族直接支援で「予防」を重視する。 |
| 最近の動向(2025-2026年) | 従来は選挙公約で虐待根絶を強調し、これを児相強化と結びつけていたが、これが抜本的に変わったかどうかは未知数。 | 児相批判は党員ブログ・X発信中心で、公式の公約化はまだなされていない。 | 自民党は与党として依然児相利権を引きずる。参政党には利権が無く、野党として批判を強め、将来的な公約化の可能性あり(梅村みずほ氏など子育て関連議員の影響)。 |
| 潜在的課題 | 児相体制強化が「家族への国家介入の拡大」と批判されやすく、家族破壊のリスク指摘あり。自民党の家族尊重政策との矛盾は、整理されていない。 | 潜在的課題児相批判は強いが、法律の具体的な代替案(児童福祉法33条廃止や民法822条「懲戒権」復活等)は今後の課題。 | 自民党の政策は児相を強化・活用する路線;参政党は児相を問題視・改革する路線で、両者は明確に異なる。だが参政党は、まだ公約レベルで政策が具体化されていない。 |
以上のように、高市自民党と参政党とでは、児童相談所を巡って百八十度異なった政策が提示されていることは明らかです。これは、自民党が児相・社会的養護利権のしがらみを依然引きずっているのに対し、参政党にはそれが全くないことを反映しています。
児相利権に縛られ家族保護に及び腰な自民党、家族の絆を護る参政党
以上のことから、参政党をもっと強くし、自民党に児相・社会的養護利権を断ち切らせるように動いてもらわなければならないことがわかります。
もともと安倍元首相を師と仰ぐ高市現首相は、前回の総裁選(石破氏が当選)の演説において、児童相談所を連呼していた事実があります。そもそも、こういう人権侵害の児童相談所・社会的養護システムを築いてきたのは、ほかならぬ自民党です。自民党の高市政権は、「責任ある積極財政」を唱えながら、これまでの児童相談所・社会的養護関係の補助金などの予算をほとんどが温存しています。これでは、日本政府は依然として赤字国債の乱発を強いられ、それは円安に繋がります。高市首相は、このことに対する責任の自覚がはたしてあるのでしょうか。このような高市自民党の政策は、「児童相談所の体制強化」を削除したとは言っても、依然として家族を破壊し親子の絆を切り裂く児相・社会的養護利権に縛られているといえるでしょう。これは実のところ、家族の絆を護るという自民党の政治方針と大きな論理矛盾をきたしているのですが、このことについて自民党から明確な説明はありません。
この点、参政党は、児童相談所や社会的養護に利権は持っておらず、家族の絆を護り親子の関係に国家が介入することを厳しく戒める方針を堅持しており、より政策が論理整合的です。国家介入により親子の絆を破壊された辛い経験を持つ児相被害者の立場からすれば、支持すべきは明らかに、児相・社会的養護利権から解放されている参政党となります。
自民党ではなく、参政党などの新たな保守政党に強くなってもらい、自民党を強く牽制する必要があることは、疑いないでしょう。
児相被害者のみなさん!! 来る総選挙では、私たちの最愛の子どもたちを奪い、私たちの血税を利権に流して無駄に費消し続けている児童相談所を廃止に追い込み、社会的養護の根本的なリストラを実現するため、両党の政策をよく比較して、賢明な投票行動をとりましょう!!