1. HOME
  2. 最新情報
  3. 福祉の新自由主義化でフィンランドにも児相被害者が!ー「社会的養護」に群がる企業が、行政と一緒に子どもでカネ儲け

NEWS

最新情報

福祉の新自由主義化でフィンランドにも児相被害者が!ー「社会的養護」に群がる企業が、行政と一緒に子どもでカネ儲け

ツィッターに飛び込んできた、フィンランドのご家族の児相被害情報

最近、ツィッターで児相被害者同士の意見や情報交換が活発になり、緩やかなコミュニティのようなものが出来上がってきました。児相に乱暴に足を踏まれ、最愛の我が子を奪われた強い心の痛みを共有する人たちがバーチャルな空間で繋がりあい、お互い励まし合いながら、児相や厚労省の人権侵害行政に闘いを挑んでいます。

そのツィッターに、北欧のフィンランドで暮らしている日本人の奥様から、我が子が現地で児相被害に遭って裁判で闘っているとの情報が飛び込んできました。昨年5月29日に「緊急保護」としてお子様が拉致され、今もお子様方は帰ってきていないのだそうです:


サンタクロースとムーミンの国フィンランドで児相問題!? とは驚きましたが、調べていくと、そこには、実は根深い闇が潜んでいたのです。

制度も問題もまるで日本そっくりな、フィンランドの「児童緊急保護」

フィンランドでは、自治体のソーシャルサービスに、30日間の「緊急保護」の権限が認められています。これは、親と12歳以上の子どもの同意を得て行いますが、同意がない場合は、行政裁判所の審判によって判断されます。つまり、「一時保護」の際の司法審査はあるのですが、それは全件ではなく、不同意の場合のみとなっているのです。その「緊急保護」期間は日本の半分で、1回だけさらに30日間延長できます。
ところが、「緊急保護」ののち、代替的(社会的)養護を受けた児童数は、フィンランドの子ども人口105万人に対して9,547人(2019年)となっており、何と全国の子ども人口のおよそ1%が代替的養護をうけていることになります。この異常に多い「緊急保護」が、日本以上の問題をつくりだしているのです。
(以上、フィンランドについての情報は、増沢高、田中恵子「諸外国における児童虐待対応」『こころの科学』214号、37頁)

当会は、フィンランドの児相被害者団体Laspetと連絡をとり、その代表のグレンロース(Marko Grönroos)さんから状況を伺うことができました。グレンロースさんご自身も、児相被害者です。以下、いただいたメイルにより、フィンランドの児相問題をめぐる状況をまとめます:

妊婦や子供の健康チェックを行い、親に健康管理などについてアドバイスするネウボラ(Neuvola)という組織がある。これは[子どもを親から引き離す]「児童保護サービス」に直接つながっているわけではないが、学校や託児所と同様に、子どもについてネウボラ職員に「心配する」ことがあれば看護師が保護サービスに通告できる。ネウボラ利用者の子どもに虐待の徴候がみられた場合や、親が子どもの環境について、発達に「重大な危険をもたらす」ような「悩みの種」を話したりすると、「緊急保護」に至ることがある。問題は、この通告の書類に誤りが多く、とても主観的な判断がなされることだ。「親としての問題」とか「ストレス管理における問題」といった曖昧な言葉が、代替的養護のための典型的な理由として使われる。特に問題なのは、フィンランドのソーシャルワーカーが異人種間の結婚に否定的な態度を取っており、妻が子どもを取り戻すため、[異人種との]離婚を強要する兆候があることだ。私は中国人の妻と結婚しているが、ソーシャルワーカーが私たち家族を別居させようとしている。[ツィッターに書き込んだ]日本人妻の場合もそうだ。行政裁判所は、ソーシャルワーカーなどの主張のみに基づいて判決を下しており、地裁のように事実証拠が考慮されることはない。代替的養護は,非施設的ケア (家族の養育改善など) 後の最後の手段であると法律で定められているが、多くの場合、これは無視される。児童保護サービスは常に問題をかかえており、法律上の苦情に加えて、行政上の違法行為に対する正式な苦情を行政、地域、州レベルで受けるためのいくつかのルートがある。だが、保護サービスのシステムは同じままであるどころか、より複雑なものに再編成されている。

アジア人など非白人とフィンランド人との国際結婚に対し、フィンランドの福祉関係者が否定的姿勢で臨んでいるとは、日本の児相がひとり親家庭をアセスメントシートで潜在的な「虐待家庭」としていることと似ているとはいえ、それ以上に重大な人種差別行為であるといえます。

グレンロースさんは、フィンランドにある最も大きな児相被害者団体として、「10月運動(Lokakuun Liike)」を紹介して下さいました。
この10月運動の公式ウエブサイトは、フィンランドの児相問題につき、次の5点を指摘しています:

Screenshot of www.lokakuunliike.com

1. 子どもと家族には、入所前・入所中・入所後に十分な支援措置が提供されていない。使用されている支援措置は、自発的なものでも、家族にとって有益なものでもない。多くの場合、これらの対策の真の目標は、社会的養護に子どもを入れることを開始または継続する根拠を見つけることになっている。

2.家族には、欧州人権条約に従った、客観的な調査または公正な裁判を受ける権利がない
裁判は客観的な地方裁判所ではなく、行政裁判所で行われる。その裁判官は無能で経験が浅く、元ソーシャルワーカーであることもしばしばで、家族の話を聞いたり、捜査を行ったり、告発の証拠を求めたりすることなく、ほとんどすべてのソーシャルワーカーの申立てを認容する (認容率95%以上) 。

3. 社会的養護に子どもを送り込むのは一時的なものではなく恒久的であり、家族再統合の努力はなされていない。

4.社会的養護における監視の継続的欠如が施設と家族の両方に存在する。社会的養護制度の違反を報告した子どもと親が罰せられ、互いに孤立させられるか、子どもに後見人がつけられる。フィンランドでは、後見人は中立である必要はなく、しばしばソーシャルワーカーであるか、社会的養護制度に関係している。

5. ソーシャルワーカーは,しばしば無能 (一部の地域ではスタッフの半数以上) かつ挑戦的 (3分の1が民間起業家になることを計画している) であり,児童の代わりに社会的養護制度の代理人および企業家を保護している。

社会的養護システムが、民間企業のビジネスの場に

こうした社会的養護システムは、新自由主義の下で、フィンランドの企業にあらたなビジネスチャンスを提供するようになりました。
ヘルシンキで発行されている夕刊タブロイド紙『Ilta-Sanomat』が、すでに9年前に、「児童福祉が、各界の自営業者を惹きつける収益性の高いビジネスとなっている」と告発しています。

Screenshot of www.is.fi

(▲日本語訳は、こちらをお読みください)

同紙2012年6月16日付け電子版によると、フィンランドでは、子供1人の年間措置費用は10万ユーロ(約1327万円)かかり、社会的養護に6億ユーロ(約800億円)が支出されています。この予算が、人材育成会社、教育サービス、保健医療を提供する民間企業に、大きなビジネスチャンスをもたらしているのです。フィンランドの福祉団体「ヌオルテン・ウスタヴァット協会」は、「上場企業による児童福祉事業が追求するのは、利益の最大化のみ」だと言い切ります。
しかし、この福祉団体自身も、決して褒められたものではありません。その経営する教護院が、「大人たちが支援する、トータルなケア」と称して子供をコンクリートの独房に拘禁したとして批判を浴びました。その団体が仕切る子ども後見人プロジェクト(日本でいま語られている、子どもアドボケイトに類似したシステム)にはスロットマシン業界から資金が出ていますが、その子ども後見人プロジェクトは、生物学的親の口封じだと批判されています。
各自治体が国庫から受け取る政府補助金を決定するのは、「児童福祉係数」です。これは、日本の「保護単価」とよく似ていて、自治体における子どもの監護件数に基づいて額が計算されます。つまり、子供をたくさん拉致するほど、補助金が増えるのです。しかも、フィンランドでは、こうして子どもをコマに使って獲得した補助金は「特定用途に指定されていないため、自治体は交付された資金を、例えばバイパス道路の建設にも使用することができる」のだそうです。ここから当然に、もっと沢山子供を拉致しようとする経済的インセンティブが各自治体に生まれておかしくありません。子どもたちは、自治体財政にとって「金のなる木」でしょう。どんどん子どもが拉致され、なかなか家族に返されないのは当然です。

企業にビジネスチャンスを与える代替養護施設にカネが回っても、ソーシャルワーカーにはカネがまわりません。こうして、自治体のソーシャルワーカーは、過重労働で尻を叩かれ、疲弊することとなりました。この様子は、同じ『Ilta-Sanomat』の2020年10月27日付け電子版が明らかにしています:

Screenshot of www.is.fi

それによると、バルト海に面した港湾都市トゥルクでは、ソーシャルワーカーの部屋で「合計1メートルの未開封の手紙が見つかった、最も古いものは、1年以上前のものだった」という事実が暴露されました。実親や里親との連絡も十分でなく、「緊急保護」を審理する行政裁判所に提出する書類もソーシャルワーカーがろくに用意しないという状態であり、このため裁判所は、この書類不備の子どもを実親に返還するよう命令したということです。フィンランドのご家族にとっての幸いは、日本ほどには児相と裁判所の癒着の度合いが強くなく、日本風に言えば児相行政が「敵失」をしでかした場合には、裁判所が独立して、行政側に偏向しない司法判断していることでした。

私たちは、フィンランドと聞くと、北欧の福祉先進国というイメージを抱きがちです。ところがそこでは、いま、社会的養護システムの新自由主義化、つまり「緊急保護」を入り口にした子供の商品化が急速に進行しているのです。そして、施設経営の企業主義化とソーシャルワーカーの労働強化から、子どもと家族の甚大な人権侵害が生み出されています。とはいえ、スウェーデンやオランダなど、EUのコア諸国では、このような情報は聞きません。そこには、社会的養護の企業化や闇雲な子どもの拉致・拘禁をしない児童虐待予防システムがあるからです。オランダのシステムについては、『児相利権』(八朔社)第6章をご参照ください。

◆・・・自民党はいま、新自由主義者の山田太郎氏が唱える「こども庁」をつくり、児童相談所の10倍化をはかろうとしています。これが不幸にして実現すれば、日本にもこのようなフィンランド的状態が大々的に作り出されことは、火を見るよりも明らかです。これを日本の子ども政策の地獄絵にしないよう、皆で闘いましょう!