ノルウェーの児童相談所Barnevernetが、 愛着関係の意図的挿げ替えで子どもたちから実親を奪っている!

Barnevernet: ノルウェーの児童相談所

ノルウェーの児童相談所「Barnevernet(バーネヴェルネット[ˈbɑ̂ːrnəˌvæ̂rnət])」は、1953年の児童保護法(Barnevernloven)の制定が直接的な前身とされています。この法律は、地方自治体に児童保護サービスの提供を義務付け、国家レベルでの監督体制が確立されました。
その後、数々の法改正を経て、1992年の児童福祉法で、Barnevernetは、児童や青少年(通常は18歳まで)を対象として児童虐待や家庭内暴力への対応を強化し、予防的介入に注力するようになりました。「子どもが危険にさらされている」とBarnevernetが一方的に判断した場合に、家族に介入して子供を親から引き離し、里親家庭や児童養護施設に預ける措置を取ります。
特に、1960年代から発見された北海油田による経済的繁栄による税収増は、「社会福祉」への投資を可能にし、「高福祉」政策の一環としてBarnevernetの拡充を後押ししました。日本でも、立憲民主党が主張する25%の消費税が実現すれば、児童相談所がさらに大規模に拡大強化されるでしょう。現在、Barnevernetの職員数は約5,000人で、年間約8,000人の子ども達が「保護」措置の対象となっています。ノルウェーの人口は550万人余りですから、これを20倍してみると、日本と比較してもいかにBarnevenetが巨大で、現地の家族や子供たちの脅威となっているかがわかります。
Barnevernetの運営は各自治体ですが、その方針や監督はオスロにある中央政府の「児童・平等・社会的包摂省(Barne-, likestillings- og inkluderingsdepartementet)」が統括しています。その下で、Barnevernetの家族介入のやりかたとそれに伴う諸問題の様相は、厚労省/こども家庭庁の統括下にある日本の児童相談所と瓜二つです。その判断は日本の児相と同じように極めて恣意的で、親の育児能力に疑問があるとか、軽度の「虐待」の疑いでも、「躊躇なく」子供を拉致し、里親に送ってしまいます。特に、特に移民家族、ノルウェー人と異なる文化的背景を持つ少数民族、宗教に熱心な家族等が狙われています。「福祉」財源が潤沢なノルウェーで里親には年に約800万円もの報酬が支払われるためもあって、里親ビジネスは大盛況。里親のなり手が後を絶ちません。

愛着関係の挿げ替え

Barnevernetは、国内外から「過剰介入」や「家族分断」と批判されています。頻繁にデモが起こり、「Barnevernet=Gestapo」といったプラカードが掲げられています。近年では、2010年代に複数の親が欧州人権裁判所(ECHR)に訴訟を起こし、Barnevernetの措置が家族の絆を侵害していると主張した事例が注目されました。しかし、ノルウェー政府は頑なに、このBarnevernetシステムの根本を見直そうとしていません。
このBarnevernetの政策で重要な役割を果たしているのが、愛着理論です。
愛着理論によれば、子どもは遺伝的に決定された単一の個人と、生まれた直後に基本的な愛着関係を築くとされます。この関係は、生き延びるための動物的本能によって形成されるものです。ところが、児童相談所による実親との切り離しなどによってこの愛着関係が破綻すると、子どもはその小児期に、受け身の姿勢・無関心・健康に育てなくなる・精神集中の欠如などの情緒的な問題を引き起こす可能性があります。日本の児童養護施設に拘禁された子どもたちが、実親との面会交流を遮断された結果として発達権が侵害される状況がみられることが、このことを立証しています。
ところがBarnevernetは、社会的養護を推進するため、この関係を逆に使って、実親との愛着形成を早期に断ち切り、それに代わって里親や児童養護施設職員との愛着形成を積極的に進めることで問題を解消しようとしているのです。子どもが新しい養育者との間に「健全な」愛着関係を築けるように、Barnevernetは継続的に「支援」と監督を行います。新しい養育者への定期的な訪問と相談を通じて、子どもの福祉と発達を確認し、必要な「支援」を提供します。その結果、「Utviklingsfremmende tilknytning」(発達を促進する愛着)という思想の下で、里親委託が2年以上続いた場合、一般に里親との愛着形成により子どもの発達が促進されると判断し、Barnevernetは生物学的親への子どもの返還を選択肢から外します。これは、実親の側から見れば、かつて自分に愛着を抱いていた血の繋がった我が子をほぼ完全に失ってしまうことを意味します。
しかしながら、国際人権法においては、あくまで実の親子の関係、そして実親と子どもの愛着関係こそが第一義であり、社会的養護に子どもをゆだねることは最後の手段・最短の期間でなければならないと定められています。つまり、実親は自らの判断で、適切に我が子を育てる法的権利を保有しているのであり、国家権力はこれに無暗に介入してはならず、親の子の権利を尊重しなければならないのです。このことは、子どもの権利条約第5条に明確に規定されています。「子どもの権利条約」という名称ですが、それは親の権利も護っているのです。
ノルウェーの社会的養護制度は、このような生物学的自然に基づく愛着関係を意識的・組織的に挿げ替えようとするもので、明らかに国際人権法に違反しています。このため欧州人権裁判所は、実親の元に戻すことが子どもの最善の利益にかなうという立場から、ノルウェーの行政にしばしば厳しい判決を下しています。

Forandringsfabrikken: 愛着関係を挿げ替える洗脳工場

生物学的親子の中ではぐくまれた安定的愛着を破壊し、これを社会的養護の担い手への愛着へと挿げ替える作業を組織的に行うため、驚くなかれ、ノルウェーではForandringsfabrikken(変革の工場)という行政組織まで用意されています。 Barnevernetによって実親から引き離された子供たちはここに送られ、職員のハグと笑顔で迎えられます。そして、親から離れ児相の監督下での生活を始めることについて、「いい事でも悪い事でも何でも言っていいわよ❣」と意見表明を勧められます。素晴らしい子供の権利条約12条の実践のように見えますが、ここで子供たちが児相批判をしても、まともに取り上げられることは滅多にありません。児相を子ども達に批判させ、いかにも職員が子供たちの味方だというイメージを植え付けてラポールを形成するのです。
これに成功すると、Forandringsfabrikken職員は「児童相談所(Barnevernet)は愛です。あなた方子ども達のためになるよう仕事をしています。あなたの実親は罪深い人間で、悪者です。」という本番の洗脳を始めます。 洗脳の過程で、子ども達の頭の中は徐々に社会的養護を肯定する思想に置き換えられます。そして退所する頃には、「児童相談所は愛に溢れた素晴らしい所だ、児相に感謝する」という考えに変わり、児相が手配した里親との愛着関係を受け入れる心の準備ができあがっているのです。
Barnevernetは、このような洗脳を経てもなお実親に愛着関係を抱き続ける子どもが親にあてて手紙を書くと、それを意図的に親に渡さず、親は死んでいるように子供に思わせようとしています。子供たちが「お家に帰りたい!」と叫んでも、児童相談所は「里親との愛着関係が出来上がっている」として、帰宅を認めようとしません
こうした洗脳を受け入れない子供たちは、「これじゃヒットラーユーゲントと同じだ」と退所後にForandringsfabrikkenでの経験を否定的に語っています。
もっとも、ここで子供たちが話した「虐待」体験は、「だから児相は必要だ、もっと児相にカネを、職員を!」というプロパガンダに使われますから、洗脳に成功しなくても、児相にとって完全に失敗ではありません。
そして子供たちは、18歳になって里親から解放されると、実親探しを始めるのです。

日本の児相被害者闘争への教訓

このような、愛着関係の挿げ替えを社会的養護政策の核心に据えようとする兆候は、日本にも認められます。
例えば、最近、東京の世田谷区では、乳児院などに「保護」された乳幼児を、速やかに里親に託し、早期に里親との愛着関係を築くためとして、区の予算で「里親待機制度」を導入することにしました。ここでは勿論、里親への愛着関係と引き換えに、「保護」された乳幼児が抱く実親との愛着関係を消滅させることを期待しているのです。
また、児相被害者の大きな関心を読んだ、疑いの段階から面会制限を法制化しようとするこども家庭庁の児虐法改悪案にも、子どもが実親と面会できなくして実親との愛着関係をできるだけ早期にそぎ落とし、里親や児童養護施設職員などの社会的養護の担い手との愛着関係を築きやすくしたいという意図が透けて見えます。
しかし、このような考え方は明らかに国際法違反の重大な人権侵害です。実親との愛着関係という生物としての人間の摂理を踏み躙っているのです。実親中心主義と家族の尊重が、何よりも基本的な人権なのです。潤沢な「高福祉」財源のために社会的養護が繁栄し、「福祉」がその巨額の予算をチューチューしたい人々にとっての利権とカネ儲けの手段に変質してしまいました。その結果、ノルウェーでも日本でも家族が著しく侵害されています。
児相被害者は、海を超えて闘いましょう!