2008年度の水岡ゼミ巡検では、西アフリカのナイジェリアとカメルーンの二国を、20日間にわたって巡りました。第16回目の巡検で、初めてのアフリカ大陸上陸となりました。
2008年前半には、TICAD IVの開催や資源への注目の高まりによって、かつてなく日本でアフリカが注目された時期でした。私たちは、資源価格の高騰により、活力ある経済成長を遂げていたサブサハラ以南アフリカで最大の人口を有し、石油を産出する西アフリカのの大国ナイジェリアと、ならびにその隣国で中部アフリカの盟主を任じ、日本の援助が盛んなカメルーンを巡検先として選びました。出発前の文献研究で、アフリカに対する「イメージ」が「貧困」・「援助」という日本人の既成観念であるネガティブなものから、「資源保有国」・「経済成長」そして「投資」という積極的でポジティブなものへと変わる中で、あたらしいアフリカの姿を探ろうという意気込みを持って、ラゴスを目指してフライトに乗り込み巡検に臨みました。
現地では、国営鉄道や中央省庁といった国家機関、交通を管轄する州政府機関、国際機関、現地に進出する日本企業、JETRO・JICAの現地事務所、現地企業、大学、日本が援助したプロジェクト、農村支援を行うNGOなどさまざまの機関にインタビューを行い、また視察をしました。お世話になった関係諸機関に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。そして巡検を通じて、欧州列強による植民地化の遺産、現在のその実情がどうなっているか、つまり本当のアフリカの姿とは何なのか、そのなかで世界各国がアフリカにどうかかわっているのか、日本のアフリカとのかかわりにどのような問題があるのか、私たちは、実地のフィールドに即して十分に理解できるようになりました。
本巡検報告では、アフリカにおける中国のプレゼンスや、植民地時代の建造環境、農村・漁村の経済活動、都市の市場、援助とNGO、交通問題、学校、博物館から国境検問所での手続きにいたるまで、直接観察したことを基に、ナイジェリア・カメルーンの経済・社会を様々な側面から紹介致します。
私たちが巡検中に経験したことは全てこの巡検報告・コラムに詰まっています。自動車、船、鉄道、飛行機で西アフリカの大地を駆け巡った私たちの巡検記録は、これからアフリカへ実際に行こうと考えられている方にとっても参考にしていただけるでしょう。
読者の皆様に、少しでも、いまアフリカで起きていることを知っていただき、アフリカに対する既成の「イメージ」が、生きた「知識」に変わるとなるよう、本巡検報告がお役に立てれば幸いです。
では、どうぞごゆっくりとご覧下さい。
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