我が子を児相に拉致されないための本、拉致されたら読む本
上野加代子・野村知二,『<児童虐待>の構築:捕獲される家族』世界思想社、2003年
「児童虐待」言説は権力によって構築されたものであり、構築者の意図は、虐待言説を広げることによってその主体が経済的・社会的利益を獲得することにある、とする社会構築主義からの児童虐待分析。共著者の野村氏は、当時児童相談所職員で、児相行政は虐待を強調するよう構成されている事実を指摘している。
R. A.ウォーシャック『離婚毒: 片親疎外という児童虐待』 誠信書房、2012年
離婚した夫婦の一方が同居の子を洗脳し、親権を持たない親を拒絶するよう子を仕向ける手練手管と、それに伴い子供に生ずる「親疎外」という人権侵害を説く。夫婦の一方を児相と読み替えれば、それはまさに拉致した子供に児相が親を嫌う洗脳を加え、「帰りたくないと言っている」と主張する手口と同じである。
内海聡『児童相談所の怖い話:あなたの子どもを狩りに来る』三五館、2013年
日本で初めての児相問題を正面から扱う著書として大きな反響を呼んだ。児相の児童拉致を初めて裁判に訴えた元海上保安官、その代理人弁護士、そして児相での向精神薬悪用を批判する著者の鼎談、その他児相がどのように保護単価という財政インセンティブのため児童を拉致するか、などを厳しく告発する。
南出喜久治・水岡不二雄『児相利権:「子ども虐待防止」の名でなされる児童相談所の人権蹂躙と国民統制』八朔社、2016年
当会代表が、児相訴訟のさきがけを開いた弁護士と共著した、児相問題初の本格的研究書。児相問題の歴史、児福法・児虐法の問題性、児相ムラ利権の構造、児相による人権侵害の実態、児相被害事例、欧州先進国の児虐政策との比較、児相問題の空間編成が全体主義国家と酷似する事実などを包括的かつ詳細に論ずる。
なお、見知らぬ方から書評をいただきました。どうも有難うございます!
千賀則史『子ども虐待 家族再統合に向けた心理的支援:児童相談所の現場実践からのモデル構築』明石書店、2017年
元児相心理職による著書。子供を人質に使って親に虐待の自白を迫り、公務の正当化を図る児相行政に対し、児相は原家族の再統合(子の返還)をすべきと説き、虐待を認めない親にも子供の返還を行なうため、米国で開発された未来志向の「レゾリューションズアプローチ」という具体的実践を紹介。
篠原拓也『児童虐待の社会福祉学:なぜ児童相談所が親子を引き離すのか』大学教育出版、2019年
厚労省の御用学問とさえいわれる社会福祉学の内部から初めて出た、児相批判の書。「児童相談所問題」を、児相により我が子を拉致された家族から出た対抗的言説を示す語と位置づけ、子どもの権利条約第9条に日本の児相行政が違反している法理を詳細に解析する。2018年に一粒書房から出て品切れになっていた本が、好評につき再版された。
柳原三佳『私は虐待していない: 検証 揺さぶられっ子症候群』講談社、2019年
児相をソーシャルビジネスの手段に使う医師山田不二子らの提唱で、厚労省が「虐待」事由として児相に拉致を仕向けたSBS(揺さぶられっ子症候群)により、親が逮捕されるなど多くの家族が虐待冤罪で苦しんでいる事実を衝撃の暴露。SBSを虐待事由とするのはもはや過去の医学的知見であることを説く。
藤原 一枝『さらわれた赤ちゃん: 児童虐待冤罪被害者たちが再び我が子を抱けるまで 』幻冬舎、2019年
SBS関連の児相被害に関するもう一つの本。しかし、児相の「一時保護」を子どもを「さらう」と表現し、「強制親子分離」や、分離した後の子どもを人質にして親に「虐待」自白を迫ることの人権侵害について説いて、広く児相被害一般に通底する問題を提起し、厚労省の児相行政に厳しい批判を投げかける。
安倍浩己『国際法を物語るⅢ――人権の時代へ』朝陽会、2020年
国連が、西欧の人権思想に起源をもつ世界人権宣言ならびに子どもの権利条約を含む主要9条約から成る国際人権法を世界各国に実行させるため払ってきた数々の努力、とりわけ国連人権理事会の下に設けた特別報告者ならびに個人人権侵害申立手続の成立経緯と、その意義がわかりやすく説明されている。児相被害を国連に個人通告したいご家族が背景知識を得るため極めて有用。これと、『賃金と社会保障』1730号「特集:人権の救済を国連に!!」との併読をお勧めする。