総合設計制度
総合設計制度は、容積率及ぴ高さの制限について、統一的な緩和規定をもうけることによって、建築敷地の共同化、大規模化による土地の有効かつ合理的な利用の促進と、公共的なオープンスペース(公開空地ともいう)を確保することなどにより、市街地環境の整備を図ることを目的としてもうけられたものである。
一定規模以上の空地を有し、かつ、その敷地面積が一定規模以上である建築計画の建築物に適用される。
特定行政庁が交通上、安全上、防火上及ぴ衛生上支障がなく、かつ、その建蔽率、容積率、高さについて、総合的な配慮がなされていることにより、市街地の環境の整備改善に資すると認められる建築物について、建築審査会の同意を得たものに、容積率や高さの制限などの特例を許可するものである〔建基59の2〕。
一般的な総合設計制度のほかに、市街地住宅の供給を促進する建築物に適用される「市街地住宅総合設計制度」、都市再開発方針において再開発促進地区に位置づけられた地区等でその内容に適合する建築物に適用される「再開発方針等適合型総合設計制度」、優良な賃貸住宅の供給を促進する建築物に適用される「市街地複合住宅総合設計制度」がもうけられている。
東京都内において、一般的な総合設計制度を適用した代表的な例としては、赤坂・六本木アークビルズ(港区)や東京都養育院東村山老人ホーム(東村山市)などがあり、この制度は、いろいろな施設において幅広く活用されている。
市街地住宅総合設計制度
総合設計制度のひとつで、都心における市街地住宅の供給の促進、職住近接、市街地環境の整備改善などから昭和58年にもうけられた制度である。
一定規模以上の空地を有し、かつ、その敷地面積が一定規模以上であり、一定面積以上の住宅部分を有する建築計画の建築物に適用される。
特定行政庁が交通上、安全上、防火上及ぴ衛生上支障がなく、かつ、その建蔽率、容積率、高さについて、総合的な配慮がなされていることにより、市街地の環境の整備改善に資すると認められる建築物に対して、建築審査会の同意を得たものに、容積率や高さの制限などの特例を許可するものである〔建基59の2]。
この制度の適用となる建築物は、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域内にあるものでなければならない。
また、高さの特例では、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域においては、北側斜線について緩和されず、日影規制の緩和措置はない。
一般的な総合設計制度と比較した場合に、メリットとしては、容積率の割増しが多いことなどがあげられる。しかし、デメリットとして、用途地域によっては適用できない地域があることなどがある。
東京都内において、市街地住宅総合設計制度を適用した代表的な例としては、大川端リバーシティ21(中央区)や両国シティコア(墨田区)などがあり、大都市における住宅の確保という観点等から、最近では、この制度の活用例が多くなっている。
(出所: 『都市計画用語辞典』ぎょうせい、1993年)
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