■ ゼミ生達の日本からウルムチまでの旅程                  2003. 8.22〜27


この水岡ゼミの巡検は毎年現地集合、現地解散となっているため、私達も集合場所のウルムチまでの旅程は各自で考えることになっていた。しかし結局一番安い交通手段を考えるとゼミ生6人は同じルートで現地まで行くことになった。安価でかつ快適な旅ができて、これから中央アジア方面への旅行を考えている人にもお勧めできるものなので、以下に記しておきます。

8月22、23日

 出航の一時間半前、朝10時半に大阪港近くののコスモスクエア駅に集合。ここから大阪港までは歩いて10〜15分ほど。駅から港までは有料のシャトルバスも利用できる。

大阪港から国際フェリー蘇州号に乗り、上海へ。上海までは2泊3日かかるのだが、この夏休み期間はグループ旅行のキャンペーンが行われていたので5人一組で一人22000円だった。この中には大阪−上海の往復、4日分の朝食、上海で4ツ星ホテル2泊分の宿泊券が含まれている。時間はかかるが、上海まで行く交通手段としては格安だ。

私たちは2等Aという船室を予約した。この船室は四人部屋になっており、2段ベッドが2つ、テーブル、テレビが一つずつ、備え付けられていた。室内はとてもきれいで、ベッドも清潔で快適だった。1等船室は洗面台が室内に備え付けられていること、テーブルの置いてあるスペースが広いこと、備え付けのポットがあることくらいで、あまり2等Aと違うところはなかった。2等船室の人でも大きな窓が着いた大浴場を自由に使うことができるので、たいていの人は2等Aで充分快適な旅が送れるのではないかと思う。2等Bは雑魚寝部屋だが、旅仲間ができるという点ではこちらの部屋でもよいかもしれない。ただ、2等Aとさほど料金は変わらないので、体力温存のためにはAをお勧めする。

朝食はあらかじめ料金に含まれていたので食堂でとる。昼食と夕食は各自食堂か、自動販売機のカップラーメンでとることになる。食堂のメニューは和洋中なんでもあり、500円から1000円くらいで食べられるが、あらかじめカップラーメンやパンなどを持ち込んで置いた方が節約にはなると思う。また、免税されているため、アサヒスーパードライが350mlで150円と格安で楽しめる。

出航して約12時間後にライトアップされた関門橋の下をくぐりぬけたときはすごく迫を感じた。船内には船の航路がわかるレーダーもついていたので、現在地を確かめながら景色を眺めることもできた。

天候が良ければ船はほとんど揺れないが、悪くなると歩くのが大変なくらいに揺れるので、酔い止めは用意しておいたほうがよいだろう。2泊3日の船旅は本を読んだり、ほかの旅行者の人たちと話たり、夕日や満天の星空を見たりして、とても楽しく過ごせた。時間はかかるがゆったり船旅というのもいいと思った。



8月24、25日

朝10時ごろに上海到着。パスポートを見せて荷物はX線にかけられるが、それ以上の荷物チェックはなかった。フェリーターミナルにはホテルの係りの人が車で迎えに来てくれていたので、まずは荷物を置きにホテルに向かった。格安フェリーチケットでお迎えつきとは本当に驚いた。ホテルも4ツ星なだけあり、とてもきれいなところだった。

ホテルに着いてからはまずゼミ生全員でウルムチまでの切符を買いに行った。切符売り場を知っているので案内してくれるという船内でゼミ生の一人が仲良くなった中国に留学されている日本人の方2名と一緒に北京路切符売り場というところに向かった。そこで私達は無事に26日上海駅発ウルムチ行きの切符を購入することができた。 中国の列車は寝台車の硬臥車と軟臥車、普通の座席の硬座車、軟座車に分かれている。さらに硬臥車は3段ベッドなので上段、中段、下段に分かれており、上段は天井すれすれの位置にあるため、もっとも値段が安い。初めての中国の列車で上段は恐いと思っていたので、本当は中段か下段の切符を購入したかったのだが、出発日の2日前のこの日にはすでに売り切れていたので。仕方なくゼミ生全員上段の切符を購入。一人653元、日本円に直して約1万円だった。

 実はこの切符売り場に行く前に、私たちが泊まったホテルの中の旅行代理店で切符を購入しようとしたのだが、「もうその日の切符は売り切れた」の一点張りだった。その旅行社の配分の切符は実際に売り切れていたのかもしれないが、確かめもせずにひたすら「ない」の一点張りだったことを考えると、ただ手配するのが面倒だったからそう言ったという可能性もなくはない。一箇所で買えなかったからと言ってもう希望日の切符は買えないのだとあきらめず、何箇所かで購入を試みたほうがいいだろう。

この日はこの後上海の観光地として有名な明代の役人の私庭園跡である豫園へ行った。閉演時間に近かったので庭園内は入らず、周りのおみあげ屋などを見て回った。日本人観光客が多く来るようで、片言の日本語で話しかけてくる店員さんが多かった。また、中国人の団体ツアー客も多く、大変にぎわっていた。

次の日、ゼミ生はそれぞれテレビ塔に登りに行ったり、美容室で髪を切ってきたり、デパートめぐりをしたりと思い思いにすごしていた。




8月26、27日

この日は昼過ぎに上海駅に向かった。中国の列車の乗りかたはちょっと変わっていて、まず駅に入る前に荷物のX線チェックを受ける。それから列車ごとに待合室が設けられているのでそこで改札時間まで待つことになる。待合室に入ると私たちはすぐに中国人の男性3人組にしきりに話しかけられた。どうやら一人10元で列車まで荷物を運んであげると言っているようだった。とてもしつこかったが、私たちはひたすら断り続けた。

改札時間になり、列車に乗り込むと、下段のベッドの下や網棚など荷物の置き場所をまず確保した。

それから上段の自分のベッドに登ってみたが、聞いていたとおり上体を完全に起こせないほど天井に近く、とても高い位置にあったので寝ているときに落ちそうで怖かった。次の日には慣れたのだが。

中国の列車は常に熱湯が出る設備が整っているので、乗客はたいていカップラーメン、お茶の葉と水筒を持参してくる。食堂車もあり、そこでも食事はできるのだが、一食35元(525円)と高めだった。食堂車で作ったお弁当を売りに来たりもするが、値段は20元(300円)だった。また、大きな駅では何分か停車するため、ホームに降りてお菓子やカップラーメン、果物などを買うことができた。

私たちはT52/53という列車に乗ったのだが、列車の中はとても清潔だった。というのも、車両ごとに担当の車掌さんがいて、しょっちゅうゴミ箱掃除や掃き掃除をしにきてくれるからだ。ただトイレにはトイレットペーパーは最初の1ロールしか置いてなく、後は自分で用意していかなければならないので、トイレットペーパーは必需品だ。

船に続き、2泊3日の列車の旅ものんびりしていてとても楽しかった。窓からは農村風景や黄河、そして内陸に進むにつれ砂漠を見ることができた。また、周りの乗客の中国人の人々に中国語を教えてもらったり、食べ物を分けてもらったりと仲良くしてもらえた。言葉はわからなかったが、筆談できるので、言っている内容はだいたいわかった。

乗客の中にはビジネスマン風のおじさん、単身赴任しているらしい父親に会いに行く母子、社員旅行中のカシュガルの病院に勤めているというウイグル族のお医者たち、その中には日本語を勉強していて将来日本に留学したいと考えているお医者さんもいた。実に様々な人々がこの列車を利用しているようだった。

こうして現地集合のウルムチまでは飛行機を使わずに船と列車で向かったのだが、窓の外の風景の変化から徐々に内陸に近づいていっていることも実感できてよかった。そして、内陸に近づくにつれ、駅で売っているフルーツの味がだんだんよくなっていくのだ。とくにハミ駅では日本のメロンによく似たハミ瓜というフルーツが切り売りで売られていたのだが、とてもおいしかった。

このように格安な上に、移動そのものを楽しめる船と列車を使うウルムチまでの旅程は、これから中央アジア方面への旅行をお考えの方々にも、ゼミ生一同非常におすすめできるのでよかったら参考にしてみてください。

(桑野 友佳)

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