差出人: Fujio Mizuoka; 水岡 不二雄 <ce00042@srv.cc.hit-u.ac.jp>

宛先: geo@ml.air.ne.jp <geo@ml.air.ne.jp>

件名 : [geo 422] 経済地理学会幹事会、「会則変更」案強行採決の暴挙

日時 : 1999年2月7日 8:56

 


 

GEOメイリングリストの皆さん、

 

去る2月6日、経済地理学会幹事会が開催され、学会組織の改変に関わる「会則変

更」案が、強行採決されました。

 

経済地理学会の「会則変更」といっても、寝耳に水の方が大多数でしょう。本件につ

いては、昨年5月の同学会総会(福島大学)において全く報告もなく、本年度の学会

の公式の事業計画として触れられていない案件です。大多数の経済地理学会会

は、こうした「会則改正」案が議論になっていることすら、ほとんど知らない状況に

おかれてきました。

 

当日の会議においては、阿部・川口・加藤・山崎氏の共同提案と、熊谷氏・水岡の共

同提案、そして、後者の案に対する山田氏の修正提案が出されました。これらの案は

いずれも、過去の案を踏まえつつも、この日の会議で始めて提案されたものです。

 

山本代表幹事は、これらの案の提案を求めた後、「意見ではなく提案内容についての

質問を」として、幹事会メンバーがそれぞれの提案に自由に意見を述べて討論するこ

とを制限したあと、本来の討議に1時間も割かないまま、突如採決を提案。フロアか

らだされた強い反対の声を押し切って、強行採決を決行、阿部氏らの案が「決定」さ

れました。この間、会場最前列の竹内啓一会長は終始無言、最後に「幹事会に委ね

る」との発言があっただけでした。

 

学会組織の変更は、700人あまりの会員が構成する経済地理学会の将来を大きく規定

します。これら3つの案には、それぞれの特色があり、本来、一般会員を巻き込んだ

より広い会員諸階層の声をまきこんで、そのなかで十分に民主主義的な検討がなされ

ねばならない性質のものでした。こうした重大問題が、幹事会に出席していた会員中

わずか12人の「賛成」の声だけで決められることがあって、よいものでしょうか。

 

すでに本メイリングリストで報告した通り、去る1月に韓国で開催された東アジア

オータナティブ地理学地域会議(EARCAG)では、Neil Smith(米ラトガース大、ICGG

代表世話人)が、最近のグローバルな学界の新保守主義化・テクノクラート化状況と

の関連において、日本の経済地理学会の現状が、他方で世界的に展開しつつある

オータナティブの流れから外れてきていることを基調講演で指摘しました。さらに同

会議は、経済地理学会の民主主義的な意思決定をめざし、学会創立の初心に返

った批判的姿勢の復活を目指す闘争を支援するとの決議を行っています。今回

の強行採決は、こうした、グローバルな地理学界の世論をも踏みにじるものとい

わねばなりません。

 

この「変更」案は、来る5月の経済地理学会総会に上程されることとなりましょう。

この機会に、GEOメイリングリストの皆さんには、ドメスティックな枠を乗り越え、

よりグローバルな立場から関心の目を向けられ、問題を深く考えていただけれ

ば幸いです。

 

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Fujio Mizuoka, Ph. D. 水岡 不二雄

Professor of Economic Geography

Graduate School of Economics, Hitotsubashi University

一橋大学大学院経済学研究科教授

East Bldg., 2-1 Naka, Kunitachi, Tokyo 186-8601, Japan

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